2007-11-20

「国のない男」

午前中は、秋に出荷していた球根の根っことり。これは、「ほんとうによさそうなもの」だけを選びつつ。将来活躍しそうな「若手」を吟味しての作業です。って、私の独断と偏見なのだけど。お昼休みに、知り合いから借りていたカート•ヴオネガットの「国のない男」を読む。これは、今年の4月に84歳で亡くなった彼の遺作にあたる。

ヴォネガットは、怒っている。それは、ほんとうに真摯な怒りだ。

じつは、誰も認めようとしないが、われわれは全員、化石燃料中毒なのだ。そして現在、ドラッグを絶たれる寸前の中毒患者のように、われわれの指導者たちは暴力的犯罪を犯している。それはわれわれが頼っている、なけなしのドラッグを手にいれるためなのだ。(PP52-53)


アメリカのイラク政策や、社会構造、環境破壊について、皮肉たっぷりに批判している。

われわれが大切に守るべき合衆国憲法には、ひとつ、悲しむべき構造的欠陥があるらしい。どうすればその欠陥を直せるのか、わたしにはわからない。欠陥とはつまり、頭のイカレた人間しか大統領(プレジデント)になろうとしないということだ。
これはハイスクールにもあてはまる。クラス委員(プレジデント)に立候補するのはどう見ても頭のおかしい連中ばかりだ。(p110)


これが、タイトルの「国のない男」なのかもしれない。自分の国に絶望した男。エイブラハム•リンカーンや、マーク•トウエインを懐かしみ、「私の愛するアメリカは公共図書館の受付にまだ存在している(p111)」と言う。

「化石燃料中毒」のくだりあたりで、戸外の風が強まり、雨まで降って来たけど、ストーブの設定気温を思わず1℃さげて、毛布にくるまってしまった。

寒くてうすぐらいこの季節に読むには、ちょっと陰鬱すぎる内容なのだし、出版当時の2年前には、全米でベストセラーだったというが、その頃よりまた世界情勢が悪化していることを思うと、かなり絶望的な気分になった。結局、「消費」されてしまっただけ?それでもヴォネガットのアイロニーとユーモアは、やはり魅力的。あっという間に読めます。

ちょっと落ち込んだ気分になってしまったので、大好きなグループの脳天気なまでに明るい音楽を聞いて元気を出しました。

ヴォネガットも、こう言っている。
奴隷たちは自殺という疫病神を、ブルースを演奏したりして追い払っていたのだ。(P77)


夕ごはん

れんこんバーグ
青梗菜のいためもの
ブロッコリ
カボチャ
納豆
長いもすりおろし
もやしと揚げのみそ汁

れんこんと長いも、しょうがをすりおろし、片栗粉、卵、炒めたまねぎとひき肉をこねこね。お味噌を隠し味にいれるのを忘れました。

2 comments:

  1. WAになって踊ろう!

    (それにしても私もこの話題、考え出すと怒り心頭)

    ReplyDelete
  2. ジギー様

    そうですね。ヴォネガットは、容赦なく斬っていました。ブッシュやコリンを。

    嘆いていても何も変わらないので、"Let's Change the world"ということで(^^)

    おりひめ

    ReplyDelete