「雲雀事件(ヒバリ•ケース)」
と、ふと心に浮かんだのは、数日前に読み終った「下山事件(シモヤマ•ケース)」(森達也著 新潮文庫)のせいだろう。戦後最大のミステリーと言われている国鉄初代総裁だった下山氏の礫死体をめぐる謎は、松本清張が「日本の黒い霧」で書いたりしている。私もそれを学生時代に読んだ記憶があるが、アメリカと日本、共産主義の問題というよりは、当時はミステリーとして読んでいたように思う。この森達也の「下山事件」は、普通のノンフィクションとちょっと違って、この事件を巡る取材方法、発表手段を巡っての、平たく言うと内輪もめ、仲違い、企画の頓挫などの、「メタレベル」も描かれているところ。そんな風に紆余曲折を経てしまい、ふつうのルポに収まれなかったのは、それだけ闇が深いということだろう。本書でも「下山事件」の謎解きは、結局はされていない。ただ、「アメリカ従属」とか「アメリカ最後の州」と揶揄されがちな日本外交に、単純に腹立たしく思ったりもしてたけど、この戦後直後の混乱した日本の様子を読むと、「ああ、日本は、アメリカに負けたんだ。未だに属国なんだ。」と、いう事実だけがのしかかる。本書で、真相は明らかになっていないが、その重たい気分だけは、リアルに伝わって来た。
本書で秀逸な箇所は、何も知らずに事件に加担した「だろう」人物、死体となった「だろう」下山総裁を線路に運んだ「だろう」人物の視点を森達也が想像している部分。「選択肢は、ない。生き抜くためには。」
ところで、「誰が殺したスカイラーク?」ですねえ。遺体は、巣を見つけた付近に埋葬しました。合掌。
下山事件(シモヤマ・ケース) (新潮文庫) | |
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夕ごはん
豚肉の生姜焼き
ネギいり卵焼き
ワラビの醤油酢漬け
アスパラ
長いもすりおろし
納豆
高野豆腐と三つ葉のみそ汁
こんばんは。
ReplyDeleteちょっと前、この「下山事件」の渦中の親戚であるジャーナリスト(?)の方が、この事件を取り上げて上梓し、何かの賞をとっていました。森さんを紹介したジャーナリストに関してはべた褒めでしたが、森達也氏に関しては・・・ボロクソでした。
興味もそそられたが、他に読みたい本もあったので、まだ手をつけてませんが。
そのことに関し、どこかで森さんぼやいてた・・・「ただ空を見上げて立ち尽くすだけ・・・」←の彼がぼやくフレーズ、2チャンネルでもよく揶揄されてると、本人がどこかで書いておりました・・・ははは・・・
下山、三鷹、松川事件のあった1949年生まれの私は、自分が育った時代をなぞりながらこの「下山事件」を読んで、、、読後「こわいよ〜!」と、連れ合いに何度も言ってしまいました。でも、読んでよかった。
ReplyDelete「...ただ僕は、この国における組織共同体のメカニズムが、ずっと変わっていないことにどうしても払拭できない不安を感じるだけだ。その一極集中や付和雷同という属性が、後になれば取り返しのつかない失敗を、僕たちに何度も反復させていることに、自覚さえあるのならそれでよい。
なぜなら僕はもう、自覚や主体性のないままにこの国の歴史を変えられたくない。知らないよりは知った方がいい。」同本、268p
ヒバリのひなに、合掌。
つけたし
ReplyDelete”すぎな”・・・今回のGW・・・実家に帰って、実は私よりよっぽど元気な両親の一応親孝行でお手伝いしたのは「庭の草むしり」!
すぎなとたんぽぽは、母の目の敵でした。とったそれらを一箇所に集めて一年おいて、堆肥とまぜて、とてもいい土になるそうです。
ただ、ただ、とーちゃんの趣味のため(泣)
>かずさま
ReplyDelete結局、この本の取材がもとになった「下山本」が3冊上梓されたようですね。
それほど「欲望」を刺激するテーマなのでしょう。
スギナは、薬草としても貴重なそうですね。私自身、恨みはないのだけど、一応「営業畑」では、能率の面で、駆除しております。私の「野菜用ハウス」は、今年も「スギナ/ヨモギなど薬草ハウス」にすでになっております(笑)。
ただ、見かけはやはり悪いですよね。
>吉田さま
引用、ありがとうございました。ヘイセーの世から見ると、やはり昭和のおどろおどろしさを読後、感じました。
おりひめ