少年は渡辺清。 70年から「わだつみ会(日本戦没学生記念会)の事務局長をつとめ、自らも含めた日本人の戦争責任について問う著作をいくつも発表したが81年に急逝。少女は、長じて国際政治学者となり、国連難民高等弁務官として活躍し、その立場から「紛争」「難民」についての識見を深めた緒方貞子。
ほぼ同時代のふたり。偶然なのだけど、渡辺清著「砕かれた神〜ある復員兵の手記」(岩波現代文庫)と東野真著「緒方貞子〜難民支援の現場から」(集英社新書)を続けざまに読んだので、余計痛烈な印象でした。
「砕かれた神」は、復員後一年弱の19歳の日記。手のひらを返したような世相に憤りつつ、ひたすら「天皇は、いつ責任をとるのだろう」と待ち、どうやらそれはありえなさそうだと気づいたときの徒労感、絶望感。厭世気分。多くの仲間を戦闘で失ったのに自分は生き残ってしまったことへの後ろめたさ。それが、少しずつほぐれて、新しい生活を歩もうと決意できるようになるまでの心の流れが、農作業の様子、友達や家族との会話、農村の日常などの「小さいできごと」と絶妙なバランスで描かれているので、読んでいて疲れない。「等身大」だからだと思う。もしかしたら「創作日記」なのでは?とも思えるが、一家の大黒柱を失った近所の家庭の様子。「疎開もの」をなんとなく疎ましく思っている農民たち。自暴自棄になって飲んだくれている復員兵。軍国教育を施していたかつての恩師が「ミンシュシュギ」を語る欺瞞。そんな周囲への眼は、とても冷静で淡々としている。ラスト、天皇から「賜った」金品を全部返却するところから新しい生活へ旅立つところなどは、この筆者のかたくなまでの純粋さが伝わって来て清々しくもありました。
名著です。
緒方さんの方は、テレビ番組の取材内容を膨らませたもので、「リーダー論」としては、興味深い。「決断を下す」ということの重さ、ぶれない視点をもつことの大切さが、よくわかった。だけど、「砕かれた神」を読んだあとだと、緒方貞子は、ああいうポジションの人にしては、希有なまでの「現場主義」であるのだけど。どうしても「上からの視点」だなあと思える。それに、「軍国主義には批判的であった家族」という緒方貞子に対して、渡辺清なら、「それがわかっていて、どうしてあなたの父上、エリートの立場にいた人はそれをとめられなかったのですか?」と尋ねるだろう。と、「難民支援問題」とは、違ったところに反応してしまいました。
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| 緒方貞子―難民支援の現場から (集英社新書) | |
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夕ごはん
トマトハンバーグ
アスパラ
ワラビの酢漬け
納豆
わかめと卵のスープ