2008-05-15

"The Shop on Blossom Street"

町内にある織りのサークルに参加しはじめてはや8年。ほとんどが、50代後半から70代までの先輩の女性です。で、このメンバーの中には、「猛者」がいます。町内外のサークル、お稽古ごとを点々としてなかなか安住できないでいる方ですが(あるお稽古ごとでは、センセイに「もう、来ないでいい」と直接言われたそうで。御本人談。)ふしぎと、この織りのサークルでは、どっこいしょ、と居場所を確保なさっています。決して、他のメンバーがマリア様のように寛容だとか、彼女がこの場所では「火をふかない」とかいうのではなく、大なり小なりのモンダイは、日常的に発生はしているのだけど、なぜか「レッドカード!一発退場!」ということには、ならない。。。。

で、これはひとえに、このサークルの性質にあるんじゃないかなあ?と、思っていました。つまり、織りとか縫い物、紡ぎ、時に編み物といった手仕事を各自がひとつの部屋の中で、黙々と、時におしゃべりしながら行なう、、、この「手仕事」が、ある種、人々の感情を穏やかにさせるんじゃないかなあと。

そんなことを考えていたし、私自身編み物が好きなので、以前から気になっていた小説が"The shop on Blossom street"です。舞台はシアトル。10代のころから2回の脳腫瘍を乗り越えて、小さい毛糸ショップをオープンして、編み物教室もはじめた30歳のLydiaが主人公。彼女の教室に、集まって来た3名の女性、20代のAlixは、貧しい崩壊家庭で育ち、母は、殺人未遂で服役中。兄は射殺されたというアメリカの貧困層の典型みたいな女の子。Carolは既婚の39歳。バリバリのキャリアウーマンだったのが、不妊治療のため今は専業主婦。いわゆるニューリッチ層?そしてJacqulineは、50代。地元の「名士会」に属して、ベンツを乗り回し大邸宅に住んでいる。彼女の悩みは、自慢の独り息子の結婚相手が、「気に入らない」事と、夫の長年の浮気。このまったく混じり合わないであろう4名の人生が、Lydiaの毛糸ショップで、交錯していくというのがストーリー。各章が、それぞれの登場人物の物語を紡いでいく。

ふむふむ。「編む」という行為が、どんな風に、人をつないでいくのか?が語られるのかなあ?と、興味津々で、読み始めた。

しばらくして、気づいたのが、「これって、、、、日本の金曜日の10時ごろにやっている『女性もの』のテレビドラマみたい!」ということ。ストーリーの展開は、はやく、テンポもいいが、各人の恋愛や、結婚をめぐる悩みのあたりをぐるぐるしていて、出てくる男性もnice とかgoodlooking と、あっさりしていてあんまり個性を感じさせない。あくまでも「オンナのうわさ話」っぽい。で、途中から、「これを日本でドラマにしたら、どんなキャスティングになるか?」が私の興味の中心になりました。Lydiaは、今なら竹内結子とかがやるのかなー。でAlixは土屋アンナ??なんてね。

ここかしこに、作者の「保守的な思想」が見え隠れして(登場人物が100パーセント白人っぽい。はっきりとしていないあたりが、かえって確信犯っぽい。それから「家庭」「結婚」がオンナの幸せってチラチラとほのめかしている。)そんな点にツッコミながら楽しんで読みました。(←どういう意味でしょう〜)

中でも私が今回発見したのは、この本のように、文章の構造も複雑ではなく、ストーリーもなじみのものだと、ちょっとした会話が、いろんな「色」を帯びて読めるので、外国語、文化の学習としては,最適ではないかということ。例えばワインを勧められて断るシーンも、楽しいパーティの場合と、気に入らない嫁に対して断る場合と、ビミョウにニュアンスは異なる。そんな事例が一冊の本に豊富におさめられているから、一冊読むだけで、かなり「本物の英語の使われ方」が見えてくると思います。

冒頭、Lydiaのクラスで編んだベビー毛布の図案が出ていて、著者御本人が編んだ画像がネットで公開されているというので、検索したら、、、

この著者、「ハーレクインの名手」なんですって!どおりでハッピーエンド。ラストシーンには、goodlooking(だそうだ)な男の子からAlixへのプレ•エンゲージリングの贈呈シーンもあって、なるほど〜でした。人気シリーズ化して続きが2冊あるんですって!奥様!
The Shop On Blossom Street
The Shop On Blossom StreetDebbie Macomber

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夕ごはん
小松菜と厚揚げの煮こみ
オニオンサラダ
納豆
じゃがいもとわかめ、三つ葉のみそ汁

7 comments:

  1. そっか、英語ができると、読める本が2倍になるんだ~、と思い、羨ましくなったみかんです。

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  2. みかん様

    そうそう、楽しみ「2倍」になるよー。(^^)

    "The shop on blossom street"の類いの本は、翻訳だったら、ウソくさくなっちゃって読み進められないと思うんだけど(やたらDo you love me?とかI love you.が出てくる。)不思議と原文だと読めちゃいます。

    「英語多読」トライしてみますか?ほんとうに簡単なところからはじめられるから、ストレスないですよ。ほら、ブッククラブ、近いじゃなーい?(^^)

    ほとんど英語を読んだ事のなかった方が、ここで紹介しているような児童書を楽しんでいるのよー。すごいでしょう!


    おりひめ

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  3. ううう、日本語の本すら読み切れてない、みかんです。

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  4. こんばんわ、吉田です。
    シアトルに縁と恩があり、読み始めたら止められず、寝不足です。オリヒメさんの紹介のうまさに読後再度感心!!ロマンティックラブと成功神話と自己責任に金縛りの文化に生きる女たちの心の動きがセツジツでした。幸福の仕上げは、各自白馬のプリンスの獲得か再発見、あるいは赤ちゃんの出現というのがやっぱりそうかと。ジャクリーンの気に入らない嫁は、私の場合、サンドラ・ブロックになってしまいました。店のあるBlossom Streetは架空ですが、シアトルの懐かしい地名や建物、遠くに連なる山並み、フェリーの行き交うピュージェットサウンドの夜景など、かの地の情景、空気を堪能しました。面白かったです。

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  5. 吉田さま

    スルスルと読ませてしまうのは、さすがハーレクインの名手ですね!

    ジャクリーンの気に入らない嫁(Tammie Leeだっけ?)って、どうしても私は,好きになれなかったんだけど、そういう私は、ひねくれものでしょうか??メッセージは、「ひねくれてないで,彼女のように天真爛漫でいましょう!」なのかなあ??

    おりひめ

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  6. オリヒメさま、吉田です。

    中学校時代にジュニア小説(当時、「女学生の友」とかに掲載されてた)を読んでいて、はたと気がついた。自分は、美少女ヒロインの純真、可憐、誠実、優しさからはほど遠い、ヒロインをいじめる子たちの性格の悪さをみんなもっていると。。。Tammie Leeは、嫌いじゃないけど、いませんよね、こういう人。っていうか、どんな女もTammie Lee的な「天真爛漫さ」(いわゆるいい性格)とジャクリーンや他の3人が示す「屈折」(いわゆる悪い性格)の混合体だよなと。スーパーウーマン神話はお話として楽しむ分にはいいけど、それをめざしたら自分が壊れるだけだと、、、、本のメッセージは、日常はきついからせめて小説の中だけでも夢を見てね、でしょうか???

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  7. 吉田さま

    >本のメッセージは、日常はきついからせめて小説の中だけでも夢を見てね、でしょうか???


    なるほど〜。そういうことなんですね〜。私は、小説に、リアリティを求めすぎてるのだなあと改めて気づきました。

    おりひめ

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