舞台は、近未来なのか、過去なのか曖昧。確かなのは、その社会では、誰も悩まない。誰も傷つかない。みんなが「しあわせ」。なぜかというと、人生の全ては「長老」たちが決めてくれるから。新生児は、ぴったりのカップルに振り分けられ、9歳になれば、「オトナ」の印として、自転車がプレゼントされ(おお!なんとエコか!)、12歳になれば、当人にぴったりの職業が割り振られる。その発表は毎年の12月に行われる「儀式」で、そのコミュニティ全員の祝福を受けながら行われる。毎日、配達される同じ給食を各「家庭」では食し、その日にあったできごとを語り合う。悶々としちゃう性欲も、クスリを飲むことで解消!みんなが、みんな「同じ」。年をとれば、シニアハウスに移動して、手厚い介護を受ける。悩みごーとは何もなーいぷー♪(by コロッケのトシちゃんのモノマネ)
ある意味、ユートピアではありませんか?だけど、読みながらとっても不快な思いになるのはなぜだろう?
主人公は、12歳を迎える少年。どんな職業がわりふられるのか、期待に胸をふくらませている彼に与えられた仕事は、"The Receiver(受取る人)"。これは、職業というより「聖職」。その修行で彼が体験したことは"The Giver(授与する人)"から、過去のあらゆる出来事についての「記憶」を体全体で文字通り受け取ること。その出来事とは、今あるこのコミュニティからは抹殺された全てのこと。雪のキーンとする冷たさから、熱帯のジリジリする暑さ、心浮き立つ喜びの数々、幸せな気分、、、そして、戦場での苦痛、哀しみ、怒りの気持ちまで。
こうした「記憶」は、コミュニティの存続のために必要ではあるが、メンバー全員で負うのではなく、選ばれた「聖職者」のみが受け継ぐというのがこの社会のルールのようだ。
そして主人公は、この「修行」を通して、「感情」について学び、生まれてくる赤ん坊が「選別」される様を知り、衝撃を受け、あることを決意する。。。
「煩悩コントロール」に興味あるこのごろだけど、この本で描かれているユートピアの「煩悩削除」の方法は、いやだなあ。どうしてだろう?自分で自分をコントロールするというのではなくって、だって、誰かに「洗脳」されてのことですからね。って、、、思いつつ、ある意味、こうしている今だって、誰かさん(たち)による「洗脳支配」は、ソフトな形で進行中かも。。。。と、思い至る。こわっ!
対象読者は恐らく中高生。ハックスレイの「素晴らしき新世界(The Brave New World)」を彷彿させる世界観。日本なら、確実にアニメ、漫画で描かれる世界ですね。結末まで一気呵成に読みました。ラストが、「えーっ?これからどうなるの?」と放り出された気分でしたが、どうやら続編があるみたい。ほっ。こちらも是非読んでみたい。
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夕ごはん
青梗菜と豚肉のオイスターソース炒め
高菜漬け
人参のつけもの
キンピラゴボウ
千枚漬け
長いもすりおろし
納豆
じゃがいも、ニラ、しめじのみそ汁
へえ、おもしろいねえ。
ReplyDeleteどうやらその少年=receiverが反乱を起こしちゃうのか?その反乱はその世界のプログラムでは予測されてなかったのかしら。規模は違うけど映画「トルーマン・ショー」を思い出しちゃった。
読書メーター始めたよ。今はすっごい偏ってるけど。うぷぷ。
>山女さま
ReplyDelete「読書メ」友ができて、うれしー!もしかして「悪童」がお好き?(笑)"The Giver”は、あっという間に読めます。
こんばんは。
ReplyDelete↑の本、面白そうですね!
何か、日本のコミックに出てきそうな・・・
SF系って、名詞の単語が日常と馴染まないんだけど、そこをクリアすると、読み応え感が倍増!
いつの日か読んでみたいです。
この本傑作です。こわいです。”Receiver"に選ばれた主人公の少年の孤独が壮絶です。
ReplyDelete>かずさま
ReplyDeleteかずさん好みだと思います。そのうちお届けしますよ。(^^)
>吉田さま
続編があるんです。そちらがどう展開するのか?に興味津々。
おりひめ
この本、表紙嫌いしていたのですが
ReplyDeleteおりひめさんの書評に惹かれ、
読み始めました。
怖いです。背中がざわざわします。
思春期を迎えた主人公が
pillを飲まされるように
なったところまできました。
怖いもの見たさで続きも読んでみます。
カフェ
>カフェさま
ReplyDeleteたしかに、あの表紙で私もなかなか手にとらないでいました。今、その辺りをお読みだとすると、、、さらに、さらに怖くなりますよー。
で、絶対、続編を読みたくなる!
おりひめ
Trilogyになっているんですね〜。JonasとGabrielがどうなったのかわかるかもしれない。読んでみようかな。でも本を開く手が震えそう。
ReplyDelete>吉田さま
ReplyDelete私も二人のその後が気になって仕方がありません。そのうち読もうと思っています。