2012-11-29

「アンのゆりかご~村岡花子の生涯」



えー、引越し後、ようやく片付けも落ち着き、今日はレッスンもない完全オフ日~、(自治会の集まりなどはあったけど)。あっという間に終わりそうな11月。で、来月はもう12月!

12月といえば、、、ああ、またクリスマスレッスンの予定考えなければ、、、(遅い?)

昨日のレッスンでも、、、

「センセー、クリスマスやるの?」(小2女子)

やるよー(汗)。

「センセー、ハロウインのとき、時間短すぎ!今度は、6時までやって!」(小6女子)

う、、、でも、次に中学生のおねーさんのクラスあるよ~(汗)。

「センセー、今度は、サンタの格好するからね!」)(小6女子)

う、、、ついにハロウインがクリスマスにも侵食したか?

人数、メンバーの学齢、他のお稽古事など、調整事項が山積み。(それより何より内容だよね~)

さてさて、こんなにみんなが楽しみにしているクリスマス、。日本の隅々にまで浸透した原因のひとつには、絶対「ミッションスクール」の存在があると思う。

「ミッションスクール」。

自分がこどものころは、単に「お金持ちの行く私立の学校」としか認識がなかったけれど、キリスト教系の学校。そして、そのミッションスクールが日本の近代化に大きく貢献したんだなあというのが一番の感想だった一冊があります。

「アンのゆりかご~村岡花子の生涯」(村岡恵理 著 2011年 新潮文庫) 「赤毛のアン」の翻訳者として有名な村岡花子さんの伝記です。明治後期、地方出身の比較的貧しいクリスチャンの家庭に生まれたものの、進歩的な考えにあこがれた父親により、当時、上流階級の女子のみが通っていた「東洋英和女学院」に給費生として進学。そこで、英語はもちろん、ありとあらゆる「欧米的なもの」に囲まれて育ちます。日本にいながらさながら「租界」のように、カナダ出身のシスターたちに徹底して西欧的な思考、キリスト教的博愛主義を叩き込まれるわけで、これって、「駅前留学」どころじゃないかなり高級な「国内留学」!(ある意味「洗脳」かも、、、と思えた。)そこで出会った柳原燁子(のちの白蓮)とは、アンとダイアナのようなbosom friendsになっなるというエピソードも。

「東洋英和」でつちかった英語力で、戦後間もなく、あの「赤毛のアン」を翻訳、出版するのですが、その翻訳作業は、太平洋戦争末期の東京で、空襲警報の中、「いつかこの本が陽の目を見る世の中がくること」をひたすら祈りつつ行われていたそうです。

そして訪れた戦後、ミッションスクールで培った「博愛精神」と人脈を生かし、婦人参政権運動にも参加するなど、やはり、当時の基準からすると、かなり「活動する女性」だったようです。で、このくだりで描かれる戦後民主主義の牽引役は、ミッションスクール出身だったり、クリスチャンだったりと、もともと「欧米的なものの考え」が染みついている層。こういうのも、戦後復興が「順調」にいった要因のひとつなんでしょうね。

実は私自身は「赤毛のアン」の熱心な読者ではなく、小学生のころ読んだ「アン」はダイジェスト版で「村岡訳」でもないので、ある意味「本場」の教養ある英語を身につけた人が訳した本ってどんなだろう?と遅まきながら読んでみたくなりました。(東洋英和のセーラー服のスカーフのエンジ色は、、、カナダのカエデの葉っぱ色だったのね~。その前に、東洋英和がミッションスクールだったとも知らなかった!恥!)

また、本書に登場する「当時の進歩的な女性」たちの「家庭」と「仕事」との距離感の折り合いのつけ方は、現代にも十分通用するテーマのように思え、「アン愛読者」ではなくても、戦前、戦後の女性史としてもおもしろく読めます。

なかでも、一応「クリスチャン」であり、どっぷりその環境で生き、暮らしてきたものの、どうやら村岡花子さん自身の内面は宗教としてのキリスト教的なものからは、ちょっと距離を置いていたような節がうかがえ、そのあたりがまた、いろんなことを示唆している気がします。

著者は、村岡花子さんのお孫さん。「懐かしい私のおばーちゃん」的な読みものではなく、終始、客観的な筆致にも好感。

「赤毛のアン」ファンの友人から借りた一冊。自分では絶対手に取らない本で楽しめるのが読書好きの友を持つ醍醐味だね。

アンのゆりかご―村岡花子の生涯 (新潮文庫)
アンのゆりかご―村岡花子の生涯 (新潮文庫)村岡 恵理

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あー、それにしてもクリスマスレッスン、、、近づくなあ。。。

(ちなみに、それこそクリスマス大国アメリカで生活していたときでさえ、ユダヤ系の子は「うちは、クリスマス、関係ないよ~」と涼しい顔をしていました。それほど、実は宗教行事なのです。当たり前だけど。)

夕ごはん

豚肉と白菜の炒め物
炒り豆腐
イカの塩辛
長いもすりおろし
大根とわかめのみそしる


2 comments:

  1. おおー、この本気になってたのよ。おりひめさんのおかげで読んだような気になれました。これでもう読まなくてもいっか。あたしは村岡アンで育ちましたよ。近年出た松本侑子版も読んだけど、やっぱり村岡訳が染み付いちゃってて。。原作が読みたくなって何年か前にちらちら見たけど、原作の英語ってけっこう分かりにくくて挫折したままです。古いカナダ英語だからなのかな。冬休みに再度挑戦かな〜。長くなるけど、私子供の頃は翻訳物ばかり読んでおりました。でも、昔の翻訳物はとてもきちんとした日本語で書かれていたように思います。いやーやっぱりこの本、いつか読んでみたい。

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  2. 山女様 おお!ここにも「アンの娘」がひとり!この本、このまま、NHKの朝ドラにぴったり!の波乱万丈さ。周辺をいろどる有名人たちもゴージャスだしね(^^)。原作、私でも読めました。そんなに難しくなかった記憶が、、、(ぶっ飛ばして読んでたか?)私が村岡アンに行かなかったのは、、、続きが「アンの結婚」とか「アンの青春」とか「あんの夢の家」とか、題名でドン引きした記憶が、、、。中学生のころは、かっこいい(?)男の人が沢山出てくるSFとか推理小説の方がわくわくしてたからなー。(←つまり、今とあんまり精神構造変わってないんだ~。)

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