2013-01-03

「のぼうの城」

新年あけましておめでとうございます。

新年二日ほどは、比較的穏やかでしたが、今日の昼前から突然の暴風雪。あっという間に積もった雪を夕方、始末しました。

皆さんは新年をいかがお過ごしでしょうか?今年もどうぞよろしくお願いいたします。

年始、視聴したテレビ番組の中で、印象的だったのが、「ほこ×たて」。究極の2者を対決させる番組です。これ、いろんな対決があるのですが、企業同士の対決の中にはこの番組の出演により、就職希望者が激増するケースもあるそうで、この国の技術や知恵の凄さを伝えるには「プロジェクトX」より上かも?の充実度。

今回のテーマは「なんでもぶっつぶす金属球」VS「絶対に割れないガラス」。穴があいて、ガラスの向こうにある旗を取り出せたら金属球の勝ち、というルール。どちらも、それぞれの製品を開発、使用している企業の担当者がガチンコ勝負。

結果、穴は開いたものの、旗を取り出すにはいたらず、、、勝敗はどうする?の場面で、「ああ、これって、世界標準からいったら異端かも?」のヒトコマが。。。

金属球側→「穴は開いたけど、旗が取れなかったから、我々の負けです。」
ガラス側→「旗は取られなかったけど、穴が開いたから我々の負けです。」

結果、「引き分け」で番組は終了したのですが、これって、もし、「あの国」や「あの国」でのお話だったら、絶対両者が全く逆の理屈で、「勝ち」を主張するのでは?

おそらく、金属球側は「穴が開いたからおれらの勝ち」、で「ガラス側」は、「いえいえ、旗をとられてないからうちらの勝ち」。

この場面で、「あっさり負けを認める」ってのが、この国の文化なのか、倫理観なのか、とっても面白く、そして好ましく思いました。(世界標準で通用するかどうか、は別問題だけど。)

「戦い」について、どう考えるか?の哲学の問題なのかな。

戦いといえば「戦国時代」。ちょうど知人が貸してくれた「のぼうの城」(和田竜著 小学館文庫 2010)上下巻をこの年末年始に読破。

映画にもなった「忍城」の攻防についての物語。こんな史実があったことすら知らなかったけど、たった500人が2万人の大軍を退けたというのだから、そりゃー、映画にもしたくなるよね。

あんまりたよりない風情に、周りが「おれらが、何とかせねば、、」と奮起してしまうリーダーが主人公なんだけど、そのリーダーが、ほんとに「でくのぼう(のぼう)」なのか、「フェイク」なのかがビミョウであるのと、「負け組」の武士たちと、農民たちが、エリート集団を撃沈するという戦いの妙がストーリーの魅力でした。

この「ふにゃふにゃリーダー」、「のぼう」ではあるものの、人情の機微に厚く、芯はしっかりしてる。だから、今の日本の「リーダー」とは同じように見えて「格」が全然違う。現代日本の「自称リーダーたち」には、「のぼう様」のようなしなやかさと、まっすぐさが足りないように思います。それならいっそ、「リーダー不在」が、もしかしたらデフォルトで、しっくりくるのかもしれないな。また、この物語の中でも「負けを認める潔さ」の美学が描かれています。

そういう感性、「ぐろーばりぜーしょん」の中では、不利なのだろうけど、サイズに合わない靴をはくぐらいだったら、もういっそのこと「うーん、ムリヤリ靴をはいていたけど、実は下駄の方がやっぱりしっくりくるんだよ」と開き直った方がいいのでは?と物騒なことを思ってしまう年始でした。(それが通用していたら、今の日本になってないんだよね。。。。)

さらりと読むにはうってつけの戦国物でした。


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夕ごはん

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