九州の大雨、洪水のニュースがとても気になります。(昨夜は、洪水と竜巻の夢を見ました。去年の震災、津波からの「流れ」がまだ続いている感じ。原発事故も含めて、「2011年」は、未来の「日本史教科書」で、覚えなければいけない年号になるんだろうな。
そして、「2011年」ではなく、「1995年」も、大事な年と語るのが、「1Q84」の著者、村上春樹。
知人の「村上春樹ファン」が貸してくれた「村上春樹 雑文集」(新潮社 2011)にあるエッセイからです。
もちろん、1995年といえば、阪神淡路大震災、そして地下鉄サリン事件のあった年。著者は、その後、サリン事件の被害者、また元オウム真理教信者にインタビューをして作った本も上梓しています。
「雑文集」は、タイトルとおり、ジャズについて、翻訳について、また、有名な「卵と壁」のスピーチまど雑多にいろいろな文章が掲載されています。中でも、このサリン事件をめぐる一文が、とても今の状況とシンクロしていて、ドキドキした。
詳細は、ぜひ読んでみてほしいのですが、特に印象的だったのが、オウム真理教に入信してしまった「知的理系エリート」たちが、「思春期に小説を読まなかった」人たちだったというくだり。著者は、「フィクション慣れしていない彼らは、容易に麻原が描く稚拙なフィクションに傾倒し、また、フィクションをフィクションだと認識できずに、閉じた世界に入り込んだままになったのではないか」と分析しています。(←もっと、格調高く、説得力ある形で本文では説明されていますが。)
「原発事故」、「放射能汚染」をめぐってのいろいろな言説にも、ここで言われている「稚拙なフィクション」に似たものもたくさんあるし、サリン事件のころより世の中の不安定さって進んでいるから、それこそ「アンダーグラウンド」で、いろいろなものがうごめいているような予感があります。
(飲み込まれないために必要なのは、「複眼的視点」なのだろう。「わかりやすい言葉、感情に訴える言葉」に要注意なのは言うまでもなく。その感覚を鍛えるためにも小説、あるいは物語は有効、、、ってことかな?)
このエッセイだけで、なんだか怖くなった一冊。
しかし、この部分は別にしても、村上春樹という人の輪郭がわかる一冊でもあります。
高みを目指して、黙々とルーティンを守った生活を続け、中華料理は食べない(美意識らしい。巻末の和田誠と安西水丸の対談で暴露されている。)など、誰かに似てるかも、、、と、思ったら、、、
マリナーズのイチロー。
「努力する天才」がここにもひとり。いや、天才だから努力できるのか?
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こちらのロングインタビューも読み応えあり。なるほど、19世紀のロシア文学や西洋文学がおもしろい理由がよくわかりました。
2冊を貸してくれたMちゃん、thanks!
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夕ごはん
ハンバーグ(付け合せは、しいたけとピーマンのいためもの)
ブロッコリ
ほたての佃煮
からし菜のつゆびたし
長いもすりおろし
かぶとあげのみそしる
ハンバーグには、たまねぎをいためたものをたっぷり。
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