2010-08-13

「小暮写真館」

722ページの大作は、「小暮写真館」(宮部みゆき著 講談社 2010)

「おもしろかったよー」と知人がポンと貸してくれました。4つの短編(とはもはやいえない長さだが)が連なって、最後にひとつになる宮部ワールド。表向きのストーリーは「心霊写真」のなぞ解き。シャッター通りから、ブログ、SNSに「てっちゃん」などイマドキのアイテムが並べられているのに、登場人物がなんとも、ほっこりしているのは宮部みゆきならでは。

「フツーの人」が、必死に無自覚で生きていると時々、うっかり「毒」を吐く。その毒にあたって傷ついた人の心が、どう立ち直っていくのか?が裏というかほんとのテーマ。「毒」は特に「言葉」の毒のこと。

そして、うっかりすると毒まみれになる「言葉」をこれだけ大量に駆使して、「言葉」では伝えきれないもの、「言葉(理性)」を超えたものの大切さを描く宮部みゆきは、やっぱりすごい。行間というのとはちょっと違う、「かたまり」の言葉の上にふわっと浮き上がる「雲」の形で伝わってくるのです。

高校生の会話体は、ちょっとリアルじゃないかも?以前の宮部作品と比べるとスピード感がないかも?と思ったけど、読後に残る「雲」を思えばさもありなん。

花ちゃんのおとーさんとか、ST不動産の社長は、「木更津キャッツアイ」の「ぶっさん」パパと通じるものあり。そう、こびなた文世がぴったり。(息子の花ちゃんは、ぶっさんほどエッジがきいていないけどね。)花ちゃんの弟のピカちゃんは「名探偵コナン」っぽいし、柿本さんは中島美嘉?と、キャラ立ちもしっかりしています。

エアコンの効いた部屋で、夏休みにまったりハラハラほんわかしたい方におススメ。分量が気にならない面白さ。最後まで読むと表紙の写真を見て思わずほろりとしますよ。

そうそう、この本でも65年前の戦争が語られています。「ナニカアル」「小さいおうち」「小暮写真館」と、戦後生まれの女性作家が語る戦争は、直接的でない分リアルかもしれません。で、この3冊の中でも、やはり宮部みゆきのすさまじさは特級。


小暮写眞館 (100周年書き下ろし)
小暮写眞館 (100周年書き下ろし)宮部 みゆき

おすすめ平均
stars必要以上に長くて重いです。
starsう〜ん…
stars正しく宮部みゆきの習作です
starsちょっとガッカリ・・・
starsやさしい

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夕ごはん

オホーツクサーモンのぬかづけ
トマトとたまねぎのサラダ
むしブロッコリ
ぬかみそづけ
キューちゃん漬け
納豆
じゃがいもとあげ、わかめのみそしる

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