2010-08-07

「ナニカアル」

まさかねー、全国ニュースでこの町の最高気温が報道されるとは、、、でした。

というわけで、最高気温36.8℃の昨日。エアコンないし、外作業は危険。網戸はネコにひっかかれてるし、「クマが襲ってくる」と同居人が言うので窓も最小限にしか開けられない中、何をしていたかというと、、、洗濯機を回しながら、読書。なんと、舞台は第二次世界大戦中のジャワとボルネオ。

熱帯の暑さと本の厚さ、中身の熱さにぴったりの環境。

読んだ本は「ナニカアル」(桐野夏生著 新潮社 2010)タイトルは、本書の主人公、林芙美子がつづった詩の中の一節から。

そうです、主人公は「放浪記」の著者、林芙美子。戦時下、日本軍からの指令で「ペン部隊」としてほかの「文学者」ともども南方(ジャワ、ボルネオ)に派遣され、現地からのレポート(もちろん、日本軍に益のある内容)を送った史実がストーリーの骨格。とはいえ、桐野ワールド全開のフィクションです。

林芙美子という桁外れのパワーをもった女性が主人公な上、書き手が桐野夏生だから、いやー、暑い、じゃない熱い、熱い。暑苦しい熱帯夜のような小説。

恋愛小説でもあり、歴史小説でもあり、社会派小説、さらにはファンタジー(これは、妄想に近いかも)としても読み応え十分。私は、自分の気持ちに正直に生きていただけなのに、いつの間にか「国家」というよくわからない怪物に飲み込まれていくホラー小説として読みました。

あれよ、あれよ、、、って感じで、世の中は流れていくのだろう。怖いなあ~。

もし、今の日本で戦争なんかが起こったら、「日本軍」は、「ペン部隊」を組織するのだろうか?今だったら「ブログ」か「Twitter」かな?桐野夏生が「徴用」されたら、どんな文章を書くのかな?

熱帯夜にもふさわしく、終戦から65年という夏にもふさわしい本だったかも。

ネタバレになりますが、、、本文中、林芙美子は「私生児」を身ごもります。く全体の雰囲気からすると、彼女の愛人であった新聞記者との間の「子」という風に読めるような書き方がされているけれど、、、、よーく読むと本文中、芙美子は、一言もその子の父親が誰であるかを明言していません。「南方で授かった子」とあるのみ。

これは、、、桐野さん、「ナニカアル」でしょうか?

ナニカアル
ナニカアル桐野 夏生

新潮社 2010-02-26
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おすすめ平均 star
star純粋に小説として楽しんだ
star林芙美子に憑依する桐野夏生の妖しい魅力
star頭で読み、本能で感じ、肉体に味あわせる力作

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ゆうごはん

今夜は冷やし中華。でもって、昨夜は夏野菜とひき肉、豆のカレー。あまりの暑さに、カレーの壷を投入しすぎて、辛すぎてクレームがつきました(汗)

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