2008-03-03

1960年以降生まれの主婦

今日は,ひな祭りだそうで、「五目寿司」でも作ろうと思っていたのだが、うっかり読み始めて止まらなくなってしまった「変わる家族 変わる食卓ー真実に破壊されるマーケティング常識」(岩村暢子 勁草書房)のせいで、時間切れ。だけど、作るのをやめてしまったのは、この本のせいだけではなくって、実は、この本が分析している「1960年以降生まれの主婦」に私がドンピシャリあてはまっているからかもしれない。本書は、「家族研究」のマーケティング本として毎年首都圏でおこなっている<食DRIVE>という食卓の実態調査の報告書である。トーンは、扇情的でもなく、むしろ控えめで、データ(調査対象家庭の一週間の献立)を淡々と提示している。データと並んで、調査に協力した主婦たちの言葉がふんだんに折り込まれている。著者のコメント、分析は思ったほど多くないし、冷静である。

にもかかわらず、(だからこそ?)「ホラー小説」のような怖さがたっぷりであった。

現実が、こうなのか、という怖さ。おうちで「ごはん」を作る人がいなくなってしまったみたいだ。朝も、昼も夜も、「こどもは好きな物をテキトーに食べているみたい(よく見ていない)」「こどもが産まれて忙しくって、ごはんを作れない」「作るものは、『気分』で」「幼稚園のお弁当は、『見栄えがいいから冷凍食品』そして、キティちゃんの顔をノリで飾ってデコレーション」「冷凍食品は,自分は食べた事はないが、こどもたちが喜ぶから、おいしいんだろう」「夫もコンビニで好きな物を『自由に』買って食べるのが好きみたい。」「『好き嫌い』をむりに直させようとしたら、ストレスだろうからほおっておく」。たとえ、家族が皆同じ「スパゲティ」を食べても、娘は、トマトソース、息子はタラコソース、私はホワイトソースのレトルト。で、みんなが楽しいし満足。だけど「食卓の担い手」の意識は見られない。

もしかして、この程度なら、まあ、今の世の中、アリかな?とは思えるが、本書は、食卓の状況をとおして、家族間のコミュニケーションの変容にも言及しているから、奥深いし、こうなった原因を「女性の社会進出」のせいとか「女性が高学歴化したから」とわかりやすいところにおとさない。この主婦たち、夫たちの育てられ方、あるいは学校教育の受け方など、複合的な要素をやんわりと示唆している。続編では「親の顔をみたい」プロジェクトとして、この世代の親の世代への聞き取り調査をした結果が紹介されているようだが、そちらもまた読みふけっちゃいそう。おとなの手伝いを通して身につけられていた「なんとなく」の「文化」の継承がある時期から断絶しちゃったんですね。

正直な話、わたし自身(1964年うまれ)「お手伝いはいいから、勉強しなさい」と言われて育ちましたし、一人暮らしもしていたけれど、まともにごはんを作るようになったのは、20代後半です。はい、「母からではなく、本を読んで」料理を習いました。きょうも「気分で」メニューを変更しちゃいました。ああ、子育てしていないのが、せめてもの救いです。
変わる家族 変わる食卓―真実に破壊されるマーケティング常識
変わる家族 変わる食卓―真実に破壊されるマーケティング常識岩村 暢子

勁草書房 2003-04
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おすすめ平均 star
star確かに家庭の食文化は崩れつつあるが…
star主婦への否定的バイアス
star冷静な分析

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夕ごはん

肉ジャガ
スモークチキンのサラダ
長いもすりおろし
サンマのコチジャン煮
大根、えのき、ほうれんそうのみそしる

7 comments:

  1. こんばんはー かずでーす!(と、宣言)

    私も、一応60年代(かろうじて)なのですが、実家母は、何もせんといきなり実家から結婚し、初めて朝ごはんを作ろうと買い物にいったら、どこのお店も閉まってた。。。
    でもって、下宿(間借り?)のおばさんに、「奥さん、、、朝ごはんの材料は、前の日に買っておくものなんですよ。」と、いわれたそうな。
    トラウマ(では無いと思う。奴に限って絶対!)で、私たち兄弟、私、妹、弟は、夕食のお手伝いは、勉強とは別物!を叩き込まれました。 が、せっせと用意してたのは、肴ばかりだしなぁ。。。
    んーーーー?おかげで、包丁も研いでたし、ただ、趣味と実益兼ねてたという話もあるし。
    じっさい、冷蔵庫の材料で食事作らせたら、夫のほうが郡をぬくし。私は、メニューを決めてから、材料かってつくるタイプだった。
    さすがに、最近はしてないですが。。。

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  2.  同い年!\(^∇^)/東京オリンピック年の、東海道新幹線開通日に生まれました。
    化学調味料&食品添加物漬け世代ですね♪

     先日、とあるニュース番組でも、こどもたちに撮ってもらった朝食写真を分析してましたが、朝食にロールケーキやタコ焼き食べててビックリ。親が悪びれもせず「こどもの好きな物を出している」と答えていてまたビックリ。
     こどもが育つために必要な栄養を、叱りつけてでも食べさせるのが親の役目じゃないのか?(味の素で育った私でもそう思う)

     現在、我が家の朝食は、ごく質素な手抜き和食なのに、こどもがお友達と朝食話になり「すごい!朝ご飯たくさんだね」と驚かれたそうです。その子の朝食は、ヨーグルトとイチゴ。
     ダイエット中のOLじゃねえんだよ!小学生にそんな朝食はイヤだ。と思うのは、単に私の食い意地が張っているからですか?そうですか。

     でも、献立は気分で決めるし、毎日の夫の弁当に冷食は使ってましたわ。(ギョーザ騒動までは)
    そんな感じ。

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  3. この本、衝撃でしょう(笑)
    あと、マーケティングはこうでなくっちゃ!と思いました。
    で、なんで、わたしがこの本を読んだかというと、義両親と同居して、あまりの生活感覚の違いに、ものすごいカルチャーショックをうけたのね。旦那に対しても感じていたけど、「男だからこうなのだろう」と思っていたら、とんでもない!そういう家族、家庭だったんですよ〜。母親の影響ってすごいよ。義母は悪い人じゃないのですが、日本の母親像として思い浮かぶ、母らしい、親らしい包容力があまりないのです。友達と思えば、気が楽なのですが、親と思うと、がっかりすることが多いのです。
    で、この本読んで、目からうろこですよ。そっかー、わたしの相手にしていたのは、こういう家族だったのかと。嫁ぎ先の人々の心象風景がこの3部作で読めました(笑)
    だからね〜、今の世代だからとか、若いから、とか関係ないんだよね。だって、昭和ヒト桁生まれが、大量消費文化を地でいってるんだから。節約って概念も薄いし、贅沢だし、もの大事にしないし。こういうのって、外からじゃ見えないんだよね。一緒に暮らしてわかった(笑)

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  4. みかんさん、座布団3枚!!

    そう、一緒に暮らさないとわからない。
    ただ、うちの場合、たった二人の男兄弟なのに、兄嫁と夫両親が”絶望的に”そりが合わなく(単に兄嫁が変人なのだが)、彼女と比較され続け、あっちよりはましか、、、と思われてるきらいが濃厚。逆だったらと、おもうとぞっとします。

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  5. うっ、うっ、かずさん、
    お互い、がんばりましょうね~(泣き笑い)

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  6. この本読んでみたい。

    次男が以前言ってたけど、どうやら我が家の朝食は「おかしい」らしい。お友達が泊まりにきても特別な朝食は作らないせいか?出す物はご飯、鮭、味噌汁、ウインナー、目玉焼きなどなどなんだけど、これが「おかしい」らしいんだ。
    次男がお友達うちに行ってご馳走になるのは、パンがほとんど。あとコーンフレークとか。家にコーンフレーク持参でやってきた子もいたな(笑)
    長男の方は問題なんだけど、たった3歳の年の差で食生活は微妙に変わってしまっている気がする。
    特に「味噌汁」を作る家庭が少ないのか、うちでお味噌汁を出してあげると「めっちゃうまい!!」とお代わりしてくれる子供多いねー(褒められているようでちょっと嬉しくなるよ)
    学校での父兄を見ていても、たった3年の間で時代のギャップを感じてしまう。

    私も実は料理できずに嫁いだ嫁です。

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  7. みかん様、かず様

    がんばって、、、としか言えないですねえ。これは,同居の悩みですね。


    フジコ様

    我が家の朝はパン食です。理由は、ふたりとも「朝はパン」で育ってきたからかな?私の実家では、こどもの頃、「コーンフレーク」が定番だった時代もあります。(母があたらしもの好き)

    フジコさんが作るお味噌汁は、ほんとうに美味しいんでしょう。(^^)(味噌も、手作りだしね。)

    この本は、知り合いから借りたものなのです。又貸ししていいかどうか、ちょっと御本人に連絡とってみますね。

    おりひめ

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