「雪どけ」って、何かこだわっていたものが、ゆるゆるとゆるむイメージ。例えば、対立しているふたつの陣営が和解するときにも使う言葉ですよね。
世界中、そして日本中でいろんな「対立」が存在し、両者が歩み寄ることが難しい場合がほとんど。
日本の現状だと、大きいものでは「原発推進」VS「反原発」問題でしょうか。
アパルトヘイト後の南アフリカやアルゼンチンの経済危機、グアテマラの内紛など、「タフ」な対立を解決するべく尽力している人々がいます。「ファシリテーター」と呼ばれる仕事で、その仕事の第一人者といわれるアダム・カヘンという人の「手ごわい問題は対話で解決する」(ヒューマンバリュー出版 2008)を読みました。
カヘン氏は、なんと元物理学者。その後、シェルなどの多国籍企業、コロンビア大学などで、未来戦略策定などの研究職を経て、現在は、各地で解決困難と思われる問題をどう取り組むべきかを研究し、実際に調停者として参加しているそうです。
本書では、たとえば、南アフリカの「資本家代表の白人」と、それまで抑圧され、「反政府ゲリラを組織していた黒人」などが一同に会して、「南アフリカの今後」をディスカッションする会議の様子や、その他の紛争地域での緊迫したミーティングのやりとりなどを紹介しつつ、問題解決の糸口に必要な「対話力」、そしてそのもとになるものは何か?が語られています。
それは、なんと客観性や論理性ではないというのが、本書の肝。元物理学者が、この境地に至るまでの道筋も興味深い。
現代の解決困難な問題とは、複雑な要素が絡みあいすぎて、どこから手をつけていいやらわからないものがほとんど。解決できないということは、今までの思考の枠組みではとらえきれないから。
で、たいていの場合、両陣営は「対話」といいつつ、「自分の主張をどれだけ押し付けることができるか」に力を注ぐ。だから、折り合わない。
だとすれば、対話をする「場」、プロセスにおいて参加者が、どれだけ自分の「思い込み」「思考パターン」「主張」をいったん棚上げして、対立している相手の「立場」を、私心なくとりあえず受け入れることが必要。これにより、「全く新しい視点」が生まれる可能性があるから。
「語る」ことより「聴く」こと、自らをさらけ出して率直になること、それができる「場」を提供すること、が、ファシリテイターの手腕のようです。これって、教育現場でも大切な態度かも。
本書のあちこちに書かれたエピソードから、いろんなヒントをもらいました。
この本、韓国ではベストセラーだそうです。機会があったら原書で読んでみたい。
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orihimeさんのブログは多読貧乏貢献度,超高いです^^;kindle版がありました。
ReplyDeleteこうした対立をほぐすのには、女性が加わってこないと難しいのかな、ということをよく思います。
emmie様 コメントありがとうございます。あ、そうか~。こういう本も「多読本」になるんですね~(^^)。この本、原書で読もうかどうしようか迷ったのですが、人に勧めるときに、原書よりは翻訳書の方が貸しやすいかなあとってこちらにしました。必要なのは、女性というか「女性性」でしょうか?もしお読みになったらまた感想を伺いたいです(^^)
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