2008-06-21

「東京島」

またまた,低温期。さすがにストーブは出番なしですが。久しぶりに読書日記。告白すると、私がここで紹介している本のほとんどが、図書館、あるいは知人から借りて読んだもの。ありがたいことです。ある友人は、読んだ感想を報告すると「あー。これで元とった!」と喜んでくれるので、がんばって読んじゃったりします。今回のは桐野夏生「東京島」(新潮社)。これも図書館本。

前回の「メタボラ」は、よかった。だけどその前の「魂萌え!」はイマヒトツ、だったのですが、図書館でたまたま見かけたので借りました。佐藤優が絶賛してたのも影響してますね〜。書店でもとても売れている様子。私は、、というと、「うーん、、、メタボラの方が読み応えあったかな?」です。ある無人島に流れ着いた日本人の女性のサバイバルストーリー。早期依願退職してヨットで世界一周クルージング中に遭難した夫とともに流れ着いた無人島。同じように漂流してきた日本人たちと、新たなコミュニティを作る。島の名前を「東京島」とつけ、ブクロ、コウキョ、トウカイムラ、などと地名をつけいていく。島で唯一の女性として、むくむくと原始の力を発揮していく主人公をめぐる男たちの争奪戦。コミュニティどころか、本能むきだしの醜悪なやりとり。「ホンコン」と呼ばれるチャイニーズ集団のたくましさに比較される日本人組のひ弱さなんかも描かれている。

面白くないわけでは、ないのだけど,盛り込み過ぎの感あり。「名前をつけることで意味が発生する」とか「書物を読む事で意識が目覚める」とか、随所に面白そうなテーマはあるんだけど、なんとなく散漫でした。で、クライマックスでフィリピンから漂流してきた女性ばかりのダンサー集団が登場するあたり、彼女たちがNatural womanを唄うあたりから、うーん、どっかで見たような,聞いたような、、、と、途端に陳腐でつまらなく思えてきた。その理由がよくわからなかったのだけど、昨日草取りしながら閃いた。「あ!『木更津キャッツアイ日本シリーズ』だ!」と。「木更津」の映画で、主人公たちが、流れ着いた島にいたのはたくましいオンナたち。あの情景とかぶったんです。クドカンの方が迫力ある「オンナたち」だったです。って、こんな印象は,桐野夏生さんには失礼かもなあ。

ただ、佐藤優さんが絶賛したのは、なんとなーくわかる。だって彼が「木更津キャッツアイ」見たとは思えないし〜。例によってオトコの人にはコワーイ(だろう)「桐野節(オンナ節)」でした。
東京島
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夕ごはん

ジンギスカン

実は、知り合いにお昼ご飯をごちそうになりました。(私だけ)で、我が家の「留守番くん」に後ろめたかったので,夕ごはんをジンギスカンに。。。。結果的に、本日、カロリーオーバーの私です。

7 comments:

  1. こんにちは。今東京は雨降ってます。

    「東京島」、桐野夏生のインタビュー記事を読んでて、読んでみたいと思ってました。オリヒメさんの感想参考になります。でも、いつも感じるのですが、オリヒメさんの読書量は半端じゃないし、どうやってこれだけの本を読む時間を工面してるんですか?本読むのすっごく速いとか???

    これから東京駅八重洲ブックセンターで上野千鶴子さんの「お一人さまの老後」に関する講演会を聴きにでかけるところ。先週は斉藤美奈子さんの今「女大学を読む」でした。斉藤さん、よかった。

    本って、自分の内面との対話みたいなもんだから、人によってそれぞれそのときそのときの手に落ちてくる本が違うんですよね〜。前は見向きもしなかった本が、読むものがなくてあきらめて開いたらすごいよかったとかもあるし。ほんとふしぎ。

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  2. 吉田さま

    いつもコメントありがとうございます。

    読書時間は、なんとなく生まれますね〜。ま、どこかで何かに「しわよせ」はあるような気もしますが(笑)。中には、「斜め読み」ならぬ「眺め読み」もあります。

    講演会、いかがでしたか?実は,先月の末に網走に武田邦彦さんがいらしていたみたい。先日知って、びっくりしました。

    そうそう、本との出会い、不思議ですね。昨日、知人が「ターシャ•テューダーの言葉」みたいな本を貸してくれてパラパラ「眺め読み」したんだけど、そしたら今朝の訃報。「あれー!」ってびっくりしました。

    おりひめ

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  3. 苺の写真を遠景に眺めながら、ターシャさんを偲んで、、、

    上野千鶴子さんの講演、よかったです。「負け犬(未婚、独り者)、筋ものの上野です」「東京都知事からフェミニズム業界の札付き危険人物に指定されています」ってまず笑わせて。『おひとりさまの老後』がなんでこんなに売れているのかと(既に75万部突破)。本人もびっくりだそうで、「30年間人様の常識に反することを口にしてきてさんざん自爆してきたそうですが、今回は世の中が明らかに変わってきたことを実感した」とか。

    上野さんには一度間接的に助けられています。4年前妹がDVの問題でハンドバック一つで結婚先を飛び出し、東京に戻ってきました。その後彼女はDVの自助グループに参加し、独立して生活しています。妹の心がまだフリーズしてたとき、「DVと女の問題」というテーマで上野さんの講演があり、二人で行って、彼女の話に元気づけられ突破口を開くことができたのです。本ではリクツが先に立つ感じてあんまりピンとこなかった人だったのですが、初めて話を直接聴いて、「あっ、この人も本当に闘ってきた女性だ」って感じました。

    本はこれから読みます。サイン貰ってきました!!

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  4. おお、吉田様、講演会、いいなあ。
    斉藤美奈子さんも大好きです。
    「おひとりさま〜」が受けるのは、よくわかります。実際に老人と生活したり、老人の面倒をみてると、嫌でも、老後はこうなる、事務処理はこうだ、とか自然とわかるので、べつにわざわざ、ご指南して頂かなくてもいいのですが、最近は、そういう家族が少ないんですよね。

    だから、漠然と老後が不安になる。

    うちの義理の両親は、昭和ヒト桁生まれですが、戦後の核家族第一世代で、全く親の面倒もみずに、年をとってしまったんですね。ですから、気がついたら病気になって老後になってしまって、どうしよう・・とおろおろしてしまったってタイプなんですね。

    上野さんの本は、そうならない為に、老後に向けて最低限、具体的にどう行動するか、何を準備するかっていう、ある種のサバイバル本ですよね。

    不安っていうのは、具体的に行動することで解消する部分もあるので、そういう意味はいい本だと思います。
    もちろん、老後ってのは、この本に書いてない、もっと、濃厚な世界があるのですが、その辺は文学に任せて、とりあえず、具体的に行動しようって本だと思います。
    上野さんも親の介護をされていたんですよね。

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  5. >吉田さま

    講演会、実りあるものだったようですね。上野さんの本は、仰る通り「リクツっぽい」のが気になっていたのですが、「ナマウエノ」は、また違うんでしょうね。妹さんもパワーを得ることができてよかったですね!

    「本」を読むのは大好きですが、ナマに伝わるものってまた別物ですよね。これは、何が違うんでしょうか?


    >みかん様

    「おひとり様の老後」ってタイトルが秀逸ですよね。私は、周囲のいろいろな「センパイレディース」のあれこれを眺めつつ、やっぱり最終的に「ひとりになる覚悟」「ひとりを楽しめる体質作り」が、必要なのかなあと思います。あくまでも、心構えの話ですが。

    おりひめ

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  6. >みかんさま、おりひめさま、

    23日から昨日まで留守にして、ネットから切れていました。コメントありがとうございます。

    上野さんはお母さんを介護している時「子供を3人産んででおいてよかった、こうやって面倒見てもらえて」と母親から言われたそうです。それを聞きながら「じゃあ私はどうすればいいのよ」と考えてきたこと。強圧的だった父親を看取って最後は気楽な老後を願っていた母親が先に行ってしまい、一人になった父親の介護を兄弟と一緒にしたこと。2000年に介護保険が成立してから「一人でもこの制度があればなんとかなる」と確信し、以後自分の社会学の研究テーマを老後問題に定めてフィールドワークをしてきたこと。元々あった「漠然とした不安」が「あなた結婚もしていない子供もいないし年取ってからどうするの」という感じでさらに周りから煽られたり、「一人でいること=かわいそう」という空気を、「おひとりさま。。。」と名付けたことで「一人でもかわいそくない」に転換でき、「みんな最後はひとりになるんじゃない」と現実認識できたことと、それと「家族がいることで逆に介護される人より介護する家族の立場から問題が語られてしまう、その問題」。「私はこの本を今の言葉でいう一人称の視点で書きました」。「自分だったらこういう施設に入りたいか入りたくないか」「こういう介護を受けたいか受けたくないか」など。平行して「制度の問題は別の本にまとめてあるけど、そっちは売れていないし知られていない」そうです。

    「薄々変だな、嫌だなということを口にすると今までは思ってても口にだしてはいけない」とよく言われたそうです。今回の老後本に関しては、口にだしてみたら「みんなもそう感じていたんだ」と実感できたとのこと。

    Q&Aの時に、福祉関係で働く若い男性から「福祉や介護、医療制度が破綻している現状に関してどう考えてますか?」との質問に、確かに介護保険も改悪につぐ改悪で、問題は山積している。ただし、この制度自体は間違っていないと思うし、制度の内容を介護される人たち、働くひとたちの立場に合わせたものにしていかなければならない。「老後は女に見てもらえると思っている現実に老後問題を当事者として考えてない男たちが制度を勝手にいじくっている」。そうさせないためには有権者がもっと口と選挙権をうまく行使していかなければならないということを上野節で説明しました。

    「私の強みは、『千鶴子、困ってる。お願い、助けて!』と言えること」という彼女の言葉が印象的でした。

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  7. >おりひめさま、

    ナマの魅力って何でしょうね? 本の方が内容もまとまっているし、わざわざ本人の話を聞かなくても十分情報は得られるし。でも、ひとつだけあげるとしたら、実際にその人が目の前にいて話してくれるとき、全人格がどっかで感じられることでしょうか。頭だけでしゃべる人からはつまんない、こなければよかったで終わりですが。

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