2009-06-21

ユース・バルジ

お!今日は、写真大丈夫ね♪ひさしぶりに読書記録を。「自爆する若者たち〜人口学が警告する驚愕の未来」(グナル•ハインゾーン著 新潮選書2008)著者は、社会経済学者。ヨーロッパで「ジェノサイド(大量虐殺)」の研究をしている。本書のテーマは「ユース•バルジ」という聞き慣れない言葉について。これは、人口ピラミッドで、15歳から25歳の年齢層が異様に突出している現象のことだそうで。この「ユース•バルジ」が極限に達するとどうなるか?つまり、「居場所のない次男坊、三男坊たち」があふれるとどうなるか?彼らは、「居場所」を求めてエネルギーを発散する行動をはじめる。それはほとんどの場合大量虐殺などの暴力的行動に結びつく。大航海時代のヨーロッパからは、若者たちが「植民地」へ移動し、略奪、収奪のあげくそこが「居場所」になり、ラテンアメリカでは、長引く内戦が起きた。21世紀の現在、「ユース・バルジ」が起きているのは?。。。圧倒的にイスラム圏。(中国は、人口は多くてもバルジは起きていない。)

ああ、そうか、「派遣切り」だの「蟹工船ブーム」とかいっても、どうもそれが大きいムーブメントにならないのは、、、、日本で若者層が人数的に少ないからなのだね。

筆者は、イスラム主義者によるテロの原因は、宗教対立でも、民族対立でも、貧困でもない。多すぎる若者が、居場所、地位を求めて起こすムーブメントに「コーランの教え」や、イデオロギーが「後づけ」されているだけであると喝破する。(例えばアフガニスタンでは、一人の女性の生涯に子どもを産む人数の平均が7名。)だから、そこの問題を解決しないことには、テロは撲滅できないとする。

この部分が強烈な印象。つまり、「思想」は後づけなんだから、ふりまわされるな、気をつけようという風に読めました。

実は、この本、データがたくさん羅列してあり、皮肉な文言が多くとても読みにくかったのと、筆者がどうも「アンチイスラム」「イスラエル擁護」の立場であることが行間からただよってくるので、「?」の部分も多かった。(イスラム脅威論をヨーロッパに広めたいための本のように読めちゃったのです。考えすぎ?)

それでも大航海時代とヨーロッパの人口爆発の時期が一致していたこと、その人口爆発の原因として、大ペストで急激に人口が減ったあと、「魔女狩り」時代にはいり、それまでバース・コントロールを担っていた「産婆」さんが「魔女」としてほぼ壊滅的にいなくなってしまったのでは?の仮説は、とても新鮮だった。

テロの問題はさておき、世界全体を見回しても「人口問題」が「環境問題」の解決のキイだなあとつくづく思いました。助産師のともだちにも教えたあげたいが、なにせ読みにくい一冊。なんとか、ならないか?ならないねー。

自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来 (新潮選書)
4106036274Gunnar Heinsohn 猪股 和夫

新潮社 2008-12
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star次男坊いらん坊は作るな
star若者が増えたら、紛争が起きる・・・の?!
star過剰な若者は何処へ行き、何を成すか?

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夕ごはん

麻婆豆腐
冷やしトマト
アスパラ
納豆
長いもすりおろし
キャベツと大根の葉っぱのみそしる

麻婆豆腐がメニューに多いのはリクエストが多いからです。念のため。

3 comments:

  1. この本が、読みにくくって、二読しても、詳細が頭に入らなかったのは、わたしのノーミソが足りないせいだと思ってましたが、おりひめさんも、読みにくかったと聞いて、ほっと胸をなでおろしました。
    海外の論文って、デコレーションケーキのようで、こっちは、スポンジの美味しさを追求したいのに、クリームやら、フルーツやらがてんこ盛りで、なにが美味しいのか美味しくないのか、なんだかさっぱりわかんないって感じがする時があるわ。

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  2. でも、この人口問題が暴力の原点っていう考え方は、ある部分、そういわれれば、そうかもしれないって気になります。

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  3. >みかん様

    「読みにくい本」は、読みにくいよー。私はゴーマンなので、自分のノーミソが受けつけない本は、「書き手が悪い!」と思っております。おほほほ。

    文学書はともかく人文社会系の本で読みにくいのは「悪文」だよー。特に「海外の論文」の日本語訳が読みにくいときって、翻訳もモンダイあるんじゃないかなあ。直訳すればいいってもんじゃないよね。

    この本も、デコレーションが多くてスポンジがどこにあるのか?ほじくるのに苦労しました。

    おりひめ

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