介護問題、終末医療、熟年離婚、母娘の確執、、、、ふむふむ、イマドキのテーマがてんこ盛り。だけど、、、、どれも、これも、なんとなーく中途半端。リアルなようでいて、なんとなくね~。だって、これ以上に大変な介護の人、何人も知ってるし。母娘の確執だって、もっとじょうずに書く人はいくらでもいる。。。
これ書いた人の「意図」がよくわからない。。。。
と、思いつつ読み進めていたのが「母の遺産ー新聞小説」(水村美苗 著 中央公論新社 2012)。
で、まだ話の途中で、その「我儘」「過度な上昇志向」と「老い」で散々主人公(50代女性)を翻弄した「母」が死ぬ。え?ここで死んじゃうの?というところから、またストーリーは続き、ふとタイトルの「新聞小説」に気づく。
あ、そうか~。「私小説」「本格小説」の次は「新聞小説」へのオマージュなのね。
そう見直して読み継ぐと、やや陳腐なストーリー展開も、納得。下敷きは明治時代に世の中を席巻した新聞小説「金色夜叉」。主人公の祖母は、「お宮さん」に自分を重ね合わせ、人生の軌道をはずした女性。それほど「小説」の力があった時代だということ。
で、この「母の遺産」に、それだけの力があるかというと、、「?」。それも、もちろん著者は織り込み済みなのだろう。著者が愛してやまない「近代日本文学」は、もう存在しないのだから。(でも、主人公の状況と自分を重ねる50代女性は、たくさんいることだろう。)
だから、こかしこにちりばめられた、「どうして、日本はこうなった?」の著者なりの解釈は、前作、また評論集「日本語が滅びるとき」と同じトーン。
「日本」と「西洋近代」との永遠に続くと思われる愛憎入り乱れる複雑な関係に因があるってことだろう。登場する人々、それぞれが抱く「上昇志向」と「欲望のベクトル」が、哀しいほど「西洋近代」なのもそのため。ほかにも「金色夜叉」の時代ならば、抽象的な「金剛石」で表現し尽くされた「金満」のイメージは、平成の今では、「マンションの頭金」や「スタインウエイのピアノ」など具体的なものに矮小化されている。
そして、「金色夜叉」のテーマである「恋愛か金か」も、きっちりヘイセイ仕立てでパロっている。
「なるほどね~。これが著者の意図か!」と、気づいたころに、小説も終了。最後は、少し明かりが見えたかな。
もちろん、この小説の初出は「新聞小説」でした。
母の遺産―新聞小説 | |
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夕ごはん
水餃子
蒸しアスパラ
長いもすりおろし
レタスのオイスターソースいため
塩らっきょう
あ、みそしる作り忘れた!でした。
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