まず、南の辺境。「サウスバウンド(上/下)」(奥田英朗 角川文庫)彼の有名な「伊良部一郎シリーズ」の奥田英朗の小説。豊川悦司主演で映画にもなったみたい。主人公は東京中野在住の小6の男の子「二郎」。破天荒な一匹狼の元過激派でアナーキストの父が「世間」と繰り広げる騒動の数々を「やれやれ」と思いながら見つめている。二郎自身もカツアゲを繰り返す悪徳中学生から狙われたりして、「おとなのモンダイ」に関わっているヒマはないのだ。ストーリーは、そんな「男の子の成長物語」ではあるのだけど味付けがやはり奥田流。上巻の終わりで、一家はなんと「西表島移住」の運びとなる。下巻では、都会の生活とはガラリと違う島の生活に少しずつとけ込む主人公と家族、そして、「辺境」の魅力が描かれる。(これって、つまり、なんとなく「オカミのしばりが届かない場所」の意味です。)ところが、ここでも父は権力を相手に大暴れ。その姿はかつて首里王に叛旗をひるがえした八重山の伝説の偉人アカハチを彷彿とさせるのでした。「これはちがうと思ったら、とことん戦え。負けてもいいから戦え。人とちがってもいい。孤独を恐れるな。理解者はかならずいる。(下巻p256)
全編を通して、圧倒的な存在感は、やはり父の「一郎」なのだけど、影の主人公は、その父と常に行動をともにしている母のさくらさんなんでしょう。
「洋子、そんな顔しないで。おとうさんとおかあさんは、人間としては何ひとつまちがったことはしていないんだから」母が船から岸に上がり、姉の前に膝をついて言った。「人の物を盗まない、騙さない、嫉妬しない、悪に加担しない、そういうの、すべて守ってきたつもり。唯一常識から外れたことがあるとしたら、それは、世間と合わせなかったってことだけでしょう」「それがいちばん大きなことなんじゃないの?」「ううん。世間なんて小さいの。世間は歴史も作らないし、人もすくわにし、基準でもない。世間なんて闘わない人を慰めるだけのものなのよ」(下巻p254-255)
展開の早さにあっという間に読めて、読後も爽快。ちょっと元気の出ない時に読むといい本かもしれません。以前に読んだ何かに雰囲気が似てるなあと思ったのですが、、、もしかしたら「真砂屋お峰」(有吉佐和子著)かも?雰囲気というより「気っ風」が。
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夕ごはん
キャベツとひきにくの蒸し物
ぬかづけ
白菜のオイル漬け
納豆
キャベツ料理は、圧力鍋で加圧5分。柔らかくて甘くて美味しかったです。
復活ですねえ、くれぐれも、ぶり返さないようにね。
ReplyDeleteおっと、サウスバウンド、お読みいただけましたか!?
おもしろかったでしょお?えへへ。
わたしは、最後の闘いのなかで、共に闘ったワンワンの最期の雄叫びに泣きました!
>みかん様
ReplyDeleteサウスバウンド、よかったです〜。展開が早いのがいいですね。
私は「二郎くん」のご飯の食べっぷりが好きでした。
ワンワンのシーンは、辛かったなあ。。。
おりひめ