2008-09-27

発熱の原因は、これ?

思えば、数週間前の発熱。原因が思い当たらなかったのだけど、実は、この本を読んだからかも?「危うし!小学校英語」(鳥飼玖美子著 文春新書 2006)同時通訳のプロとして有名な著者によるこの本は、小学校での英語授業が必修化されるかどうか?の頃に出版されたもので、その頃、話題にならなかったのだろうか?私が見落としていただけでしょうか?タイトルがイマヒトツだけど、問いかけられているのは「小学校での英語必修化は、妥当か?」ということ。

読み進めながら,心臓がドキドキしました。いわゆる「10歳臨界期」は、幻想であること。私立の小学校で英語教育を受けた生徒とそうでない生徒を中学で比較したデータでは「小学校で学ぶ」ことの利点は、はっきりしていないこと。逆に「小学校でやっても『この程度』か」との結論。逆に、小学校で「英語嫌い」になる子が3割という調査結果もあったりして。。。(汗)親に言われて幼いうちは、楽しそうにやっていても、反抗期で、「もう、ヤダ」で終わりとか(汗、汗)、過去の英語の達人は、必ずしも幼い頃に英語を習っていない(そんとおりかも、、)さらに、教える側(ALTを含めて)のレベル、質の問題。教える内容の質の問題などが提起されている。(←余談ですが、小4の姪っ子、学校で英語レッスンがあるそうだが、「ダンスと歌ばかりでイマヒトツ」との感想でした、、、)こりゃ、熱、出るわ。

それにも関わらず「小学校英語」が推進されている背景には、企業が「英語でコミュニケーションがとれる即戦力」を求めていることが理由のひとつにあげられていて、それに伴い、大学や高校でもコミュニケーション重視の英語教育がなされつつあるそうです。これは、いいことかな?しかし、「コミュニケーション」って、ただ、「英語が口から出てくる」ということではなくって、自分の意見を説得力を持って述べられる「論理力」、ケンカ腰にならずに話をすすめる「社会性」、異文化の人と交渉する「異文化理解力」の方が、大事でしょう!英語も大事だけど「母語」はもっと大事!小学校であいさつ程度の決まり文句や、少々の単語を覚えてどうなるんでしょう?という著者の語りには、うんうん、とうなづきながら読みました。

とはいえ、もし導入するのであれば、どんなスタイルが望ましいか、の著者が描く小学校から大学までの英語教育の流れも提示されているので、ただの「脅し本」「ブーイング本」に終わっていないのも読み応えがありました。

小学校という枠組みの外であるとはいえ、こども相手に英語を教えている私にとっては、背筋に冷たいものが流れると同時に、しっかりしなくちゃなあと改めて思いました。著者の最後の言葉が身に染みます。

母語を学びながら、子どもはさまざまなメッセージを受けとって育っていきます。一人のまっとうな人間として生きていくためには、「惜しみない愛情」と「豊かな母語」が欠かせないでしょう。  それがあれば、少々のことがあっても子どもは力強くいきていくし、逆に、その根っこがグラグラしてしまっていると、いくら英語ができたとしても。、ちょっとしたことで木は倒れてしまったり、風で吹き飛ばされたりします。  しっかりと、根を張り、小さな「芽」を大切に育てられた子どもは、自分の力で自分の道を見つけるでしょう。おとなができることは、子どもが自立して歩んで行かれるように,脇から支えることしかないように思います。  英語も同じです。(pp218)


英語教室より、母語(日本語)教室の方が大切かな?。。。確かに、私の生徒さんたちの様子見てるとなあ、そうかもなあ、、、こんなこと考えてたらまた熱が出そうです〜(^^)

危うし!小学校英語 (文春新書)
危うし!小学校英語 (文春新書)鳥飼 玖美子

おすすめ平均
stars英語は簡単ではない
stars「英語が仕事」の人の限界か
stars安直な子供英語の導入への危険性を示す。
starsこれは全ての英語科教員と親必読の書でしょ!
stars早けりゃいいのか?!

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夕ごはん

蒸しトウモロコシ、カボチャ
鶏肉のトマト煮込み
ながいもとわかめのサラダ
納豆

3 comments:

  1. 鳥飼さんの「歴史をかえた誤訳 〜原爆投下を招いた誤訳とは〜」を以前読んだのですが、おもしろかったです。もし、未読で、興味があったら、送りますけど。

    日本語のセンスのある方は、英語もお上手ですよね。子供たちも、英語にふれあいつつも、日本語の本を沢山読めば、大丈夫じゃないかなあ。

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  2. おお,珍しくウチにある本のご紹介だ。
    でも,最初の方しかよんでないのよ〜。授業で「外国語学習と異文化理解」ってのを取り上げた時に使えるかなと思って買ったんだけど,読み切れないうちに授業は終ってしまった。。。

    でも「母語をまず大切に」ってのは3昔ぐらい前に大宅壮一ノンフィクション賞を取った「何で英語やるの?」でもしきりに言われてたよねえ。

    でも,それも個人のキャパによるんだと思う。
    あちこち外国暮らしをして育った人たち,様々だもの。完璧なバイリンガル、トリリンガルの人もいれば,どの言葉にも自信がないという人も。

    ウチの帰国子女の姪っ子の日本語はまったく怪しいことになってます。
    「あのタルマ渡りたい」
    と,丸太を見て言います。

    「おばちゃん,『ニシキのズボシ』って面白いの?」
    と私のマンガの本棚を見て言います。
    分かった?
    そう,大島さんの猫マンガだよ。とほほ。

    本人は「あたしは,4,5、6年生っていう一番大事な時に日本から離れてたんだからしょうがないの」ってことにしてるみたいです。
    これからどうなる、この13歳!?

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  3. >みかん様

    「日本語の本をたくさん読めば」ね!そうなんだけど、読まない子、読みたがらない子も多いのですよ〜。

    そこも含めて、私のレッスンでは、「絵本読み」をたくさんしています。それからBBカードで「遊ぶ」ことでの社会性にも期待、、、あくまでも、期待、、、、、

    ご紹介の本、未読です。そのうち貸してね♪

    >山女様

    おお!お持ちですか?この本? データの選び方、論理の組み立て方が、新書の限界か、やや物足りないんですけど、いい論点をついてると思いました。

    「個人のキャパ」は勿論あると思うけど、この本での前提は、EFL/JFLだと思います。ESL/JSLなどでのバイリンガル、トリリンガルは、インプットの質や量に幅がありますよね。これは、個人のキャパだけでは、はかれない要素では?「ニシキのズボシ」の姪っ子さんは、たしかに漢字のインプットが弱かったかな?

    大島弓子作「ニシキのズボシ」読んでみたいが。

    日本の公立の小学校で、EFLをやるなら、それなりの準備と心構えがいると思うけど、どうもそこがまだ未熟。それで見切り発車するよりは、母語教育を洗練させた方がいいのでは?というふうに私は解釈しました。

    おりひめ

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