「わたしの渡世日記 上」(高峰秀子著 朝日新聞社 昭和52年)
「高峰秀子の流儀」からの流れで知人から借りましたが、、、いやー、面白かった!戦前の日本映画史もあり、母娘の心理バトルもあり、芸能界の裏話あり、そしてそれらはつまり日本の戦前の様子を描いているわけでもあり。
何よりも文章の勢いとリズムがかっこいい。これは、幸田文にも通じるのだけど、机の前でだけ身につけた「言葉」ではないところから生まれているものだと思う。高峰秀子の場合は、ズバリ「映画」。ご本人「学校にもロクに行けず、辞書のひき方だって結婚後に夫に習った」と書いているけど、映画製作の現場で染み込んだのだろう「言葉」の力を感じました。
もちろん、ご本人がとてつもない才能を持っているんだろう。
この本で一番好きなのは、「広辞苑」の編者新村出とのエピソード。80歳を越えた新村翁が「デコちゃん」に夢中。感動のご対面の仲人が谷崎潤一郎というのも破格なのだけど、緊張して新村邸を訪れた「デコちゃん」が目にしたのは、家中にベタベタとはられた「デコちゃんポスター」。光源氏もかくや!の格調高いお手紙をしたためる新村翁とのギャップがなんともいい味です。
そして「デコちゃん」が谷崎氏に書いたという新村氏との交流についての手紙がいい。
高峰秀子、破格です。
切なかったのは、子役時代の壮絶な日々についての記述。「こども店長」や「ポニョ少女」ののことがふと頭をよぎりました。
上巻は、終戦時で終了。続きもすぐに読みたいけど、その前にやることやんなきゃね。ふー。
わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫) | |
高峰 秀子 おすすめ平均 希有な女優 デコさんはこの上下巻から読みました。(‾o‾) 銀幕とは裏腹に 20代の私でも。 おもしろかった Amazonで詳しく見る by G-Tools |
夕ごはん
麻婆茄子
フダンソウの胡麻和え
納豆
高野豆腐と大根の葉っぱのみそしる
「上」の書評、待ってました!高峰秀子、「破格」、まさにまさに。先日の「流儀」と「荷物」の書評で、高峰秀子の姿がくっきり浮かび上がり、たまらなくなって「上」「下」読み直しました。自身を笑い飛ばす力のすごさ。「下」に忘れていた「目力」エピソード出てきました!
ReplyDelete吉田さま
ReplyDeleteやはり「上質」の人なんでしょうねー。大御所たちを魅了した「デコちゃん」の魅力って何だったんでしょう?下巻を読んだらわかるかな?