2010-07-18

「人情話・松太郎」

「川口松太郎」って知ってますか?私の世代だと、「川口浩探検隊」の「川口浩」のおとーさんということはうっすらと覚えています。人情話の名手で、「流行作家」だったそうで。

高峰秀子がこの人にインタビューして聞き書きをした「松太郎・人情話」という本を読みました。

全編、「昭和」の薫りがプンプン。高峰秀子と同様、川口松太郎も絵画や文学、芸術に造詣深い教養人。ほぼ「ノー学歴」。それでも苦学の末、今でいう「セレブ」になった人です。ふたりの会話の形で話がすすむのでスラスラ読めるし、何よりも「情」がテーマのひとつ。これも「昭和」ですね。

人情の大切さ、苦労を糧にして成功した人であっても、自身の子育ては失敗した話とか、愛人遍歴とかを開けっぴろげに語っていて小気味いいです。

それにしても、こういう「器」を感じる「大人」が今の世の中いるかなー(自分も含めて)。「やめる」といっていた政治家が「前言撤回するかも」って、「前言撤回」でさえ、噴飯ものなのに、「かも」って何?「かも」って?

立派な学校を出ても「かも」の人。

学歴ないけど「立派な大人」。

「学校文化」が世の中を席巻しなかった「昭和」の時代のよさが伝わる本です。

人情話松太郎 (文春文庫)
人情話松太郎 (文春文庫)高峰 秀子

文藝春秋 2004-01
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