ありがちな説教や、精神論がない。どうやって「行動」を起こすか、を具体的にアドバイスしている。それも、かなり親身。ちゃかしたような回答も、相手をけむにまくためではなく、「処世術」として、それもアリかな?と、思える。さすが元外交官。其れ以上に、閉塞感漂う社会状況や、個人の自助努力では補いきれない環境にある人からの深刻な相談に対しての「真摯」な回答に佐藤優の「あたたかさ」が出ている。
苦学している大学生には、「どうしてもせっぱつまったら私に電話ください。なんとかしましょう。」(この相談者には実際50万円を貸したらしい。)ネットカフェ生活から脱出したい相談者には「なんとか知人を頼って資金を作りなさい。心からお願いすれば、必ず貸してもらえます。それから、まず、服を洗濯すること。明るい気分になります。」
読んでいると、重いおしりもムズムズしてくるというか「何か、しなくっちゃ」と思えてくる。なんだか「元気」になる「人生相談本」。
どうしてだろう?
書き手が根本のところで人生を、人間を大きく「信頼」している。「楽観主義」。これは、天性のものでもあるだろうが、拘置所暮らしの経験を経て至った境地かと思うと、だからこそ生まれる説得力か。
「追いつめられているなら、とりあえずボールペンとノートを用意して問題を書き出しなさい。そして夢を思い描くこと。」
「他人に対する恨み、憎しみは、判断力をにぶらせるからできるだけ持たないように。」
「苦しいときは、正直に『苦しい!助けて!』と叫ぶべき。必ず助けてくれる人が現れる。」
「一番重要なのは『人間力』。つまり友達を作る能力。」
この人の作品は、「おもしろいよー」と知人にすすめると、どの人もワタシ以上に「はまる」現象が起きた。何冊か読んだ中で、私は「獄中記」が一番よいと思うのだけど、やはりそこが彼の原点だったということもわかる。
絶望的状況の獄中で、檻から出たあと何ができるかを考えるために、スポーツ新聞の就職欄を見て、自分の「値段」を考えた。(←すでに前向き。行動主義。)どうやら、作業現場や工場でなら働けそうだと目星をつけた筆者は、
そういう作業現場に住み込んで、お金を少し貯めて、アパートに住む。アパートに住んでるうちに、何か偶然の機会に野良猫を一匹拾うだろうから、その野良猫をと。そんな夢を描いていましたよ。(pp57−58)
犯罪者扱いされ、社会的にも受け入れがない中でも、「ひっそりと生活して猫が一匹いれば、やっていけるだろう」これが、佐藤優の「希望」の形だったのだ。
巷にありがちな「ポジティブ思考」がペラペラに見える「底力」を感じました。
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夕ごはん
焼き餃子
カボチャ
きゅうりの味噌添え
納豆
しめじととうふのみそしる
良さそうな本ですね。佐藤氏は、豊富な人生経験もさることながら、神学者としての深い人生観もお持ちですから、その言葉もこころにしみ込むものがあるのでしょうね。佐藤氏の「野良猫と暮らす」に大共感!わたしもそれが今の夢です。
ReplyDelete>みかんさま
ReplyDeleteもう一冊の「個人編」も借りてきました♪その前書きによると、相談者の気持ちにどうやったらよりそえるか?相談者が言いたいこと、聞きたいことは何だろう?と行間を読もうとすると、外側から「こたえ」がやって来る感じだそうです。
神学での経験も大きいとご本人が書いていました。
「猫が一匹いれば、生きていける」って言う人は信用できる気がしますよね。
おりひめ