2011-05-14

科学者とシロウトをつなぐ人


昨日は、サーバーがメインテナンス中。ブログをお休みしたのはそのせいです。

さて、福島第一原発の状況は、さらに混沌としてきた様子。素人にはわからないことだらけです。もう、「なかったこと」にして、聞き流したくなるけど、それをさせないのが、英語教室の生徒さんの存在。中学生にもなると、ネット情報を手に入れる子も増えてきています。そんな中のひとりが、あるとき「放射能が怖い。外を歩くのが怖い。」とつぶやきました。

ぶっちゃけ、おそらくこの北海道の片隅に届いている放射能物質は、微々たるものでしょう。(今のところ)それでも彼らにしてみたら、「情報過多」(それもかたよった)な上に咀嚼しきれない話ばかりで、不安を募らせているんだと思います。

うーん、なんとかしてあげたい。少なくとも彼らに余計な不安を与えたくない。(これは「安全デマ」を推奨しているわけではないです。)

自分に関して言えば、もう数年で50代に突入!で、低レベル放射能の影響がどんだけあるか不確かな中、被曝して寿命が縮んだとしても、これまで大量消費社会にどっぷりつかってきた「ツケ」を払うつもりでいるから、あんまり不安でもないのですが、やっぱり若い世代に不必要な不安をあおりたくないなあというのが本音。もちろん、今福島圏内で線量が高い地域にいるこどもたちには、できるだけ疎開してもらいたいと切に思っています。

それで、あれこれ調べているんだけど、「わかりやすい」言い方は、「正確さ」に欠けていて信用ならん。専門家の話は、複雑すぎて、概要だけ追うのが精一杯。とりあえず「わからない」ということだけ「わかった」という頼りない状況。

そして思うのは、特に科学関係の話の場合、専門家と素人を結ぶ存在って、大切だなあということ。

これが、なかなか難しい。

そんな折、大変よい記事を見つけました。「世界」という雑誌の6月号に掲載されている「原子力発電から離れよう」という寄稿記事。筆者は生命科学者であり、歌人の柳澤桂子さんです。若くして将来を嘱望されていたものの、原因不明の病で倒れてから、実に30年以上も闘病生活を続ける中、「いのち」をめぐるスケールの大きい科学関連の著書をたくさん発表なさっています。

今回の記事も、地球上での生物の進化は放射能や紫外線からDNAを守ることからスタートした、という時点からテーマが展開。そして、人類の誕生、人口増加とそれにともなうエネルギー需要の増加、そしてそこから登場した原子力発電とその歴史、さらに原子力発電の問題点、放射能の怖さ、原子力発電に代わる太陽熱発電の可能性についてが冷静な筆致でわかりやすくまとめられています。

細胞に異常をきたす放射線量の「しきい値」については諸説あること、細胞のガン化が発生するメカニズムなども詳細あり。

タイトルは「脱原発」ですが、筆者は声高に主張するのではなく、事実を積み重ね、ていねいに検証しているので、余計に説得力を感じます。柳澤さんのHPによると、体調がかなりお悪い中での執筆だったことがわかります。静かな中にも強い憤りが伝わってくるのは、そのせいでしょうか。

とにかく原子力発電はやめるべきです。その一番大きな理由は、高線量の放射性廃棄物を処理する方法がわからないということです。やめれば道は開けます。やめないでいつまでもそれに頼っていては新しい道は開けません。


読んで背筋が伸びる思いがするのは、文体と何よりも「地球45億年の歴史」から俯瞰した上での「原子力発電」だからかな?自分が小さく思えます。

バージニア・リー・バートンさんの「せいめいのれきし」とあわせて読むと余計、そのスケールを感じるかも。

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夕ごはん

マグロのお刺身
根菜の煮物
ねぎとわかめの酢味噌和え
きんぴらごぼう
納豆
あげとにらのみそしる

隣町に買い物にでかけたら、エゾ山桜がさいていました。

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