2007-11-02

パイオニア

10月31日に、小さい「魔女」や「猫」「シンデレラ姫」が集まってパーティをしていた頃、20キロほど離れたある「クニ」では、ひとりの「王子」が、歴史を作っていた。

「王子」の住んでいる「クニ」は、タマネギやナガイモで栄える小さい、小さいクニ。「外つ国」との交流もあまりなく静かに時が流れていた。「王子」は「しょうがっこう」の3年生。じっとしているのが苦手でいつも元気に遊んでいる。「べんきょう」はあまり好きではない。ふたりの「姉君」は、「お行儀見習い」として「外つ国」の「コトバ」を週に1回習っている。「べんきょう」が嫌いな王子だが時々姉君にくっついて一緒に「べてぃぼったー ぼーと さむ ばたー」などと呪文を唱える「丸顔めがね」の女師範のクラスに顔を出していた。

先週の金曜日、いつものように姉君ふたりとクラスに行くと、「丸顔めがね」が「きょうは、『はろういーん』です。」と、カボチャにお絵描きをして、最後に外つ国の小菓子を配った。「『はろういーん』とは、何だ?」と、王子がたずねると「丸顔めがね」は、なにやら長々と講釈をたれた。王子は、ふむふむと耳を傾けたのだが、あまりに長い説明だったので、途中で頭がぼーっとしてきた。覚えていることは、「ほんとうは10月31日が『はろういーん』である。子どもは、その時に家を回っておかしをもらうことができる。」ということだけだった。

家に帰り、王子は、カレンダーを見た。「こんどの水曜日だ。」王子は、10月31日がくるのを首を長くして待った。

待ちに待ったその日、王子は姉君に言った。「今日が『はろういーん』だ!お菓子をもらいに行くぞ!」

姉君たちは、ゴマせんべいをほおばり、みたらしダンゴにかぶりつきながら、口を揃えて王子に言った。「ばっかじゃないの〜。あれは、外つ国のハナシだよ〜。」

それでも王子は、あきらめなかった。夕刻、一日の仕事を終えて帰宅した母君に、「今日は、『はろういーん』だ。『丸顔めがね』がそういった。お菓子をもらいに行きたいんだ!」

母君は、ちょっと考えてから、にっこり笑って王子に言った。「わかりました。一緒に行きましょう。支度をするので、ちょっと待っててね。」

王子は、その後、母君とともに、お城のまわりを歩き、山のようにお菓子を手にして帰宅したそうだ。口をあんぐりあけていたのは、ふたりの姉君。


王子は、こうしてその「クニ」の建国史上初の「Trick or treater」として歴史に名を遺したのです。

その後、王子は「お行儀見習い」も捨てたもんじゃないと思ったのか、また「お菓子」をもらいたいからか「丸顔めがね」のクラスに正式に参加することにしたそうです。しかし、「はろういーん」当日、母君が、出発まえにあちこち連絡をして、王子の願いをかなえるべく奔走したことは、知る由もありませんでした。


夕ごはん

おでん
ブロッコリ
キンピラゴボウ
手作り納豆

手作り納豆は、ちょっと発酵不足?まだまだ研究の余地あり。

7 comments:

  1.  ギャハハハ・・・・・!
    某「丸顔メガネ」師範には申し訳ないが・・・
     ギャハハハハ・・・・・!

     楽しい教え子増えて、よかったね。(嘆くべきか?)
    がんばれ、女師範!
           (^^)¥

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  2. 最北の地には、まだ、おとぎ話が生きているのですね。ところで、「丸顔メガネ」なんですか?わたしは、「丸ぽちゃ」です(笑)

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  3. かず様

    ギャハハ。。。。!ですね。個性的な生徒に囲まれて目が白黒の「丸顔メガネ」であります。

    みかん様

    まだまだあるのよ。いろんな「伝説」。そのうちご紹介いたしましょう。「○ぼちゃ」のみかんも美味しそうだなー。

    おりひめ

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  4. はじめてお邪魔いたします。源流きらりの吉沼です。早速お使いくださり、嬉しい感想をご友人から転送していただきました。どうもありがとうございました。一言お礼が言いたかったんですが、ご連絡先が分からずにこちらにお邪魔しました。

    私が住んでいる山梨県小菅村では、9月の十五夜の日に子どもたちが近所の家々にお菓子をもらい歩くという行事が今も行われていますよ。900人あまりの小さな村で子どもが希少価値ですが、うちの地区には村営住宅があるので毎年30人近くの子どもの分を準備するのはけっこう大変です。でも年に一度なので、楽しみながら手作りしていますよ。

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  5. 吉沼様

    ご訪問、そしてコメントをありがとうございます。

    直接、メールをさしあげようと思いつつ、バタバタしていました。ごめんなさい。

    十五夜の日の風習、興味深いです。子どもたちは何か歌でもうたいながら歩くのでしょうか?それは、小菅村だけのことですか?山梨ではあちこちで行なわれているんでしょうか?

    毎年のことだと、楽しいやら、ちょっとつらいやらですね。でも、こどもたちは、きっと吉沼さんの手作りお菓子を楽しみにしていますよ。

    今年は、何を作られたのでしょう?

    ご訪問ありがとうございました。そのうちメールを送らせて頂きます。

    おりひめ

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  6.  詳しいことは分からないのですが、十五夜で子どもたちがお菓子をもらい歩く習慣は山梨県内各地にあります。山梨県以外にもあるんじゃないでしょうかね?私は山梨県に引っ越してきて初めて出会いましたが。

     今年は「玄米おにぎり」と「おはぎ」を作りました。「お菓子」に限らないようで、昔はふかし芋とか天ぷらとか炊き込みご飯のおにぎりとかを用意する家が多かったようです。最近は手作りするのが大変だということで、買ったお菓子を袋に詰め合わせて人数分用意する家がほとんど。昔の方が子どもの人数も断然多かったのですけどね。ちょっとさびしいので、簡単なものでも手作りするようにしています。

     自分がもらい歩く子どもだったら・・・間違えなく楽しいイベントですよね。♪

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  7. Kirari様

    お返事ありがとうございます。手作りものを持たせてあげるなんて、Kirariさんは、ていねいな生活をなさっている方なのですね。

    私は、今回、レッスンの帰りには、市販のハロウイン菓子を持たせました。。。。ちょっと反省。

    おりひめ

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