だけど、この「どんより感」は実はこの国だけでなく、「大国」さらに「Change!」と勢いよかったアメリカでも続いている模様。
前作「ルポ貧困大国アメリカ」で、サブプライムローンや、貧困層に何故肥満が蔓延しているのか?貧弱な医療保障、利益重視の医療現場、さらには、戦争ビジネスについて、「ホラー小説」のように事実をレポした人が描く「ルポ 貧困大国アメリカII」(堤未果著 岩波新書 2010)には、「オバマ政権」下でも続くウオール街理論に飲み込まれた「信じられない」アメリカの姿が浮かびあがっている。
本作では、「学資ローン」「刑務所ビジネス」「年金」「医療」がテーマ。全てが「商品化」されるとどうなるか?高度資本主義、金融至上主義の行く末は「コーポラティズム(政府と企業の癒着主義)」。つまり、政府と手を結ぶ利権団体が国全体、さらには世界を飲み込んでいる図式が鮮明になる。
消費者保護法の網の目をかいくぐって存在する「学資ローン」の返済に汲々とする「学士ホルダー」の「ワーキングプア」たち。また、民営の「刑務所」に服役中になぜか「借金」が雪だるま式に増えてしまう受刑者たち。これらは、巧妙に張り巡らされたコーポラティズムのなす技。そして、これらの問題に対して、あれほど熱狂的に受入れられたオバマ政権が大した仕事を成し遂げることができていない。それは政府自体がそのシステムに組み込まれてしまっているから。
うーん、まさにホラーです。日本でもそして世界レベルで同様のことが進行中なのでしょう。
本書のいい点は、くらーい話を重ねつつ、「希望」も提示しているところ。アメリカでは「Change Obama(オバマを動かせ)」というスローガンが広がりつつあるらしい。ぼやいているヒマはない、とりあえず自分たちが動かないと始まらない。
こういうところ、アメリカから見習うべき点ですね。
このレポ、書き手の筆力で読ませる部分が大きい。どんな人なの?と思っていたら、、先日他界した「ばばこういち」さんの娘さん、そして川田龍平さんの奥さんなのねー。あれあれ、おかあさんは、詩人さんだって。(本作に関係ないゴシップでしたっ!)
ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書) | |
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夕ごはん
焼き餃子
おひたし
長いもすりおろし
わかめとしめじのみそしる
お久しぶりに来たら、またまたおもしろい情報がたくさんあるねえ、おりひめさんのとこは。
ReplyDeleteこの本もおもしろそうだけど、菊池さんのブログもいいね。ホメオパシー、やっぱりニセなんだって言うよりそんな昔からニセなのか、って驚き。
「人の弱みに付け込んで」っていう商売はニセ科学にしろコーポラティズムにしろ儲かっちゃうんだねえ。やだやだ。
山女さま
ReplyDeleteホメオパシーでも血液型性格判断でも、それで「効果」があると「信じる」ことで元気になるとか「会話がはずむ」とかいい作用もあるかも、って思います。「ニセ」であっても、それならいいんじゃない?私が「むむむ」と思うのはまさに山女さんが言うところの「人の弱みにつけこんで」の部分。そうなると「サギ」だよね。