2010-12-30

「天地明察」

明日を残して今年も終わり。年賀状は、まだできていない(涙)。こうなってくると、一日の違いで年賀状だ、年越しだって、大騒ぎしなくてもいいんじゃないか?って思えてくる。で、そもそも「一年」って何さ?そんなものに縛られないで、自由になりたーい!と、開き直りたくなる気持ちを正してくれるかも、、の一冊が、「天地明察」(沖方丁 著 角川書店 2009)2010年 本屋大賞受賞作。

時代小説だし、表紙も暗いし、スルーしていたんだけど、ひょんなことから手にとったら、おもしろい、おもしろい。いわゆる時代小説では、ない。「政治小説」でもあり「科学読み物」でもあり「歴史小説」でもある。

テーマは、ずばり「暦」。だいたい、カレンダーって何を元に作ってたんだっけ?というぼんやりな私も「ガツン」とやられました。

中国から伝わり800年に及ぶ伝統をもっていた当時の「暦」を捨てて、日本独自の「暦」が初めて作られたいきさつが話の中心。時代は江戸時代初期。4代将軍家綱のころ。そして主人公はこのプロジェクトの中心人物、渋川春海。

この人、天文学の専門家というよりは、職業はズバリ「囲碁打ち」。江戸城に出入りして囲碁を手ほどきするのが家業(そんな職業があったのか!も驚き)。さらに、趣味で「天文」の他に「算術」が大好き。いってみればバリバリの理系くんなんですね。このバックグラウンドから「改暦」という一大事業を請け負うことになるのだけど、神道との兼ね合いや、天皇家と江戸幕府の主権争い。さらには、莫大な利権も絡み、単なる「理系くん」ではまとめきれないごちゃごちゃを朴訥としたキャラの主人公が何とも鮮やかに解決していく。まるで数学の難問を解くように。

脇を固める天才数学者関孝和や、家綱の補佐役の保科正之などがとっても魅力的。

「はやぶさ」の源流がここにあるのかなあって、ちょっと思いました。

映画化の予定もあるそうで、さもありなんのビジュアルがくっきり浮かぶ小説でした。お正月のお楽しみによさそうな一冊です。

お正月前に楽しませてもらったお礼で、渋川春海に敬意を表し、いっそのこと「旧暦」で年賀状書こうかな?(←現実逃避)

天地明察
天地明察冲方 丁

角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-12-01
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夕ごはん

西京焼
飯寿し
冷や奴
たくわん
納豆
あげと大根のみそしる

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