2007-09-09

「Because of Winn-Dixie」


多読に加速度がついているAさんのために、本を探している。知り合いのHさんが推薦してくれた中の一冊がこの本。Because of Winn-Dixie. (YL3.8 22.331語)ニューベリー賞も受賞していて、多読を使った英語指導をしている皆さんなら、きっともうとっくに読んだことのある本だろう。主人公は、10歳の女の子Opal。彼女が、引っ越して来たばかりの町で、迷い犬と出会い、その犬を、Winn-Dixieと名付けるところから物語は始まる。Opalの周りの人々は、おとなもこどもも、どこか心に、ぽっかりと開いた「穴」を抱えている。Opal自身、幼少の時に家出したままの母のことを恋しく思い、なんとなくギクシャクしている牧師である父との関係に屈託を抱えている。

その「穴」は、埋まるのか?というのがテーマのひとつ。題名から想像がつくように、このWinn-Dixieと名付けられた犬が、それぞれの「穴」の周りをウロウロする。大きかった「穴」がだんだん、小さくなるみたい。まるでセラピー犬。その活躍には読み進めながら思わずにっこりしてしまう。

Winn-Dixieは、すごい!(いえ、本人にその気は、ないんだけど。そこがいいところ。)だけど最終的に「穴」は、埋まっていない。というのが私の読後感。だけど、それでいいじゃない?そのまま、その「穴」を抱えて生きていくしかないだろう。大切なのは、誰もが多かれ少なかれ、そうやって自分の「ぽっかり開いた部分」と一緒に歩いているんだ。ということに気づける優しさだろう。

「穴」は、ちょっとほろ苦いキャンディの味みたいなもの。ほろ苦味のキャンディをなめながら生きましょう。ちょっとキツイけどWinn-Dixiも一緒だし。

とても児童書とは、思えない奥行きのある物語だった。アメリカの児童書には、こういった奥行きを感じるものが多いように思う。日本の児童書には、あまりなじみがないのだけど、どうなんだろう?

数ある小さいエピソードの中で一番印象に残ったのが、「木」を植えるシーン。主人公がひょんなことから知り合いになったおばあさんに、身の上話をすることになる。それを聞いたおばあさんが、「一緒に木を植えましょう」と誘いかける。「何の木を植えるの?」と尋ねる主人公に、そのおばあさんは、「木が大きくなったらわかるよ。」と、やさしく答える。

先日読んだ「下流志向」の「学び」の話と私の中で、結びついた。主人公が植えた木は、主人公の成長とともに大きくなる。今は、何を学んでいるかわからなくても、大きくなった木を見あげる時、この少女は、自分が何を学んだかを理解するのだろう。

そして、この本を読み終わった裏表紙に発見したのが、Karen Hesse の推薦文。彼女は、Out of the Dustの作者です。
全く違う分野の本でも、読んだものって、自分の中で、妙に有機的につながったり、化学反応を起こしたりする。だから読書は、やめられない。


夕ごはん

イカの刺身
カボチャの塩蒸し
トマト
ナスのゴマ油いため
納豆
長いもすりおろし
ジャガイモとしめじのみそ汁

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