しかーし、経済状況が上向かない中、はたらけど、はたらけど、我が暮らし、、、で、ぢっと手を見る、、、のそんな日々、読んだのは最近話題の雨宮処凛(あまみやかりん)著「プレカリアートの憂鬱」(講談社 2009)「プレカリアート」とは「不安定なプロレタリアート」という意味の造語で、イタリアが発祥とのこと。新自由主義経済のなか、不安定さを強いられる人々の総称で、派遣社員、フリーター、非正規雇用者、失業者に、あれあれ、零細自営業者に農業、漁業従事者、、、なんて、まさにワタシ?も、プレカリアートなのね。
本書では、メディアで「可哀想な貧乏人」のくくりで表現されることの多い派遣社員、ニ−ト、ひきこもり、シングルマザー、精神障害者、生活保護受給者に著者がインタビューしてその「声」を届けるというのが主旨。「それって、甘えじゃない?」と首を傾げたくなるような状況のひとから、「それは、ひどすぎる!」という過酷な状況の若者まで多種ごったにとても具体的に紹介されている。(農業従事者は出てこなかったが。)
多分、40年ほど前まであたりまえにこの国にあった「貧乏」とは、やはりかなり質の違う「貧困」が蔓延しているのがよくわかる。一番の違いは、恐らく現代の「貧困者」は、家族や地域といったつながりからも寸断されていること。そんな中、自尊意識も薄くなり、自殺願望が究極の形をとると「戦争待望論」に結びつくという下りはとても説得力があった。「今のシステムをぶちこわさない限り、自分たちの居場所が作れない」という切実さが呼び込む右傾化は、もし戦争が起きたら最前線に送り込まれるのは、他でもない自分たちであることすら織り込み済みであるという著者の分析は、切ない。
「戦争におびえるのは何かを持つ者。何も持たないものは逆に『不利益の再分配』を望む。」、、、中略、、、だからこそ、「反戦平和」というスローガンは「持つ者」の傲慢である、と。(pp117)
ところどころ、「もうちょっと、そこを掘り下げてよ〜」と思う部分もあったが、俯瞰図としてはいいルポ。「現場の声」からは、新しいタイプの「希望」の組み立て方も見えてくる。(そういえば「派遣村」村長さんの湯浅誠さん、国家戦略室入りですってね〜。)巻末には「KYでも、人間力が足りなくても、生きさせろ!」がテーマの森達也さんとの対談あり。
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夕ごはん
さんまの塩焼き
ほうれんそうのおひたし
蒸しカボチャ
納豆
しめじと大根の葉っぱのみそしる
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