2008-01-04

クローディアの秘密

またまた読書日記で恐縮です。今日のは、洋書です。邦題「クローディアの秘密」。児童文学の名作と言われ、私も子どものころ、何回か,図書館の書棚から手にとったけど、なぜか読まずに数十年。今回、縁あって(?)読む事になりました。原題は"From the Mixed-up files of Mrs. Basil E. Frankweiler" 直訳すると、「フランクワイラー夫人のごちゃごちゃのファイルより(?)」もしかしたら、マセた読書好きだった私にとっては、「なんだか、あからさまに『秘密』とか言われちゃうと、ちょっとねえ」と、邦題に魅力を感じなかったのかもしれない。当時の事は,覚えていませんが。

あっという間に読んでしまい、「なんで、もっと早くに読まなかったんだろう〜!」と、悔しさが先に立ちました。だけど、今、この時に読むからわかることもあるのかもしれない。

日常の全てが嫌になった12歳のクローディアは、家出を決行。それは、彼女にとって、何か「から」の逃走ではなく、何か「へ」むかっての逃走。弟のジェイミーを従えて、練りに練った計画でニューヨークのメトロポリタン美術館で逃走生活を送る。この段取りから、逃走生活の描写、弟との会話の全てがわくわくさせる。そして、クローディアの冒険の「書き手」であるフランクワイラー夫人との邂逅から、エンディングまでの展開は、ほんとうに鮮やかである。

そうしたプロットの面白さに加えて、大切な人生哲学のようなものもしっかり織り込まれているので、大人でも余韻に浸れる。文中、フランクワイラー夫人が「旅行にでかけると、写真をたくさん撮る人がいる。帰宅したあとに、友人たちに自分たちがいかに楽しい時間を過ごしたかの証拠を見せるために。そういう人はその旅行からなにものかを得て、自分の内に取り込むために立ち止まったりはしないのだ。」と言う箇所がある。ブログなんて書いているのは、写真を見せびらかしているのと似ているのかもなあと、ちょっとはずかしくもなりました。

その意味でも邦題にあらわれている「秘密」という言葉は、なかなか示唆に富んでいます。もちろん、この「秘密」は、本書の中での大きなテーマでもあります。

著者がイラストも担当しています。

ぜひご一読を!(って、名作だから,皆さん御存知なのでしょうか?)




夕ごはん

マーボ春雨
オニオンスライス
黒豆
かまぼこ
とうふとニラのみそしる

4 comments:

  1. 私もこの本大好きです。時代を感じさせないですよね。おりひめさんの書評を読んでまた読みたくなりました。

    今年もおりひめさんのブログを楽しみにしています。

    カフェ

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  2. ああ、やっと読めた。
    昨日きょうとなぜかアクセスできなくなってたんだよね。あけましておめでとうございます。

    フランクワイラー夫人の言葉、パー子への警告かと思いましたぜ。(そうなのか。。。)
    でも、写真もブログ書きも、触れ合った事どもを立ち止まって自分の内に取り込むための一つのプロセスなのでは?
    私にはそうだけど。

    私も今年もおりひめの『見せびらかし』ブログ楽しみにしてますよ。

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  3. カフェ様

    今年もよろしくお願いします。いつもカフェさんの後をおっかけているような洋書読書です。

    「クローディアの秘密」は、ほんとうに、今まで読んでいなくて損したなあと思いました。スカラの95セントコーナーのおかげです。メトロポリタン美術館に行きたくなりますよね。私が読んだ版では、著者の2003年のあとがきがはいっていて、そちらも読み応えありました。カニングスバーグ、もっと読みたくなりました。

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  4. 山女様

    ぱー子のことは、忘れてました(^^)そういう人もいましたね。(笑)

    フランクワイラー夫人は、ぱー子のことは言ってないと思うけど。

    ブログに関しては、フランクワイラー夫人だけでなく、米原万里さんや、池田晶子さんの「キツイお言葉」もあったりして、自分の中で折り合いがついていないのが本音です。

    できるだけ、「垂れ流し」でない「みせびらかし」を心がけているんだけど、それも本人の自己満足なんでしょうなー。

    判断するのは、山女さんたち読んで下さる方ですので。

    今年もよろしくね。

    おりひめ

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