主人公である著者の父親は、4歳のときに父母と生き別れて中国で養母のもとで育つ。極貧生活ながらとても優秀だったので、北京大学をはじめ数校を受験するもなぜか不合格。それは後に自らが「日本国籍」であったためと分かる。養母は、文字どおり目にいれても痛くないほど慈しみ、育ててくれたのだが、自らが「日本人」であると分かって以降は、数百通に及ぶ手紙を日本赤十字社に送り続け、その間、文革の洗礼を間一髪で逃れながら、ようやく25年後に帰国を果たす。その後、言葉の壁と戦いつつも日本で生活基盤を作り、著者が生まれる。
残留孤児の帰国事業が正式に行なわれる以前の話です。まさに波瀾万丈の人生。
一方著者は、なんの不自由もなく「ふつうに」日本人として育ち、父の生い立ちにも特に関心を払うことはなかったのだが、ひょんなことから中国の大学へ留学をすることにする。そこで、「日本鬼子」やら「戦争責任」の重い言葉を日頃仲良くしていた中国人から浴びせられる一件を経て、「あの戦争」について考えるようになり、帰国後、残留孤児が起こした政府への「賠償訴訟」にも関わるようになる。
といった内容のルポルタージュなのだけど、父の波瀾万丈な人生と、著者のほんとうにイマドキ(1974年生まれ)の若者っぽいふわふわ感が、おそらく著者が感じる以上に際立つ本でした。
よくわからない「日本人」は、「日本鬼子」であっても、「玉福(著者の父の中国名)の子」であれば、まるで家族のように扱われる。やはり世界を平和にする手段として、「ひとりひとりとつきあう」は、基本なのだなあと思いました。
それにしても大宅賞って戦争ものが多いかも。
あの戦争から遠く離れて―私につながる歴史をたどる旅 | |
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夕ごはん
肉どうふ
焼き鮭
大根の漬け物
納豆
わかさぎの佃煮
あげと大根葉のみそしる
うちの義父も危うく、残留孤児もしくは、大陸で行方不明になっていたかもしれないところだったし、戦後の生き方も、とても、興味深い人生なんで、ずっと、お話を聞いてみたいと思っていましたが、今は、失語症なんで、無理ですねえ。
ReplyDeleteこれも、一度読んでみたい本ですね。
>みかんさま
ReplyDeleteなんと!波瀾万丈伝が、もう一つ〜。失語症だと、筆談もムリなんでしょうね。私も、祖母からもっと話をきいておけばよかったなあということがたくさんあります。
この本、例によって知人からの借り物。(-_-;)
だけど、図書館にきっと置いてあると思います。
おりひめ