気を取り直して、最近 読んだ本の感想。昨年の新書大賞受賞作「日本辺境論」(内田樹 著 新潮新書 2009)このブログでも「リンガ・フランカ」関連でご紹介した神戸女学院の先生が書いた本。
読み終わってもスッキリしない。なんだかケムにまかれたよう。。。。なのは、どうやらウチダ流。冒頭、この本は旧来の「日本特殊論」「日本周辺論」の焼き直しみたいなもので、あえてこの本を書いたのはなにごとも定期的に「お掃除」して整理したほうがいいから、、と、すでにこのあたりから、煙幕モクモク。
ズバリ、大国(中国、ヨーロッパ、アメリカ)あっての「日本(イコール辺境)」だから、相手に合わせることで生き延びる、外来のものをありがたがり、それを自分のものに変容する技術は、地勢的にやむをえず発達した。ゆえに、自ら発信したりイニシアティブをとることは、「想定外」。ここまでは、たしかにどこかで耳にしたことのある話でしたねえ。さらに言うと、いろいろ乱暴に解釈しているような部分も目立ちます。たとえば「(日本人が曖昧にしているアイディンティについて)アメリカ人は自分が何をしていてもアメリカ人であると、はっきり内面化している」とかね。ほんとうか?そもそも、この場合のアメリカ人には、アジア系、アラブ系、アフリカ系アメリカ人も含まれているの?最近アメリカ人になった人も?
そんなケムリの中でも、「田舎もの(辺境人)でして、、、」と低姿勢をとることで、国際的ルールを確信犯的に無視すること、無知を装うことで「自衛隊」と「九条」の並立や、「核の傘」に守られながら「非核三原則」などという論理的破綻状態もちゃっかり通している、の指摘は、新鮮でした。
さらに言えば、今までの「日本特殊論」は、「だから日本はダメなんだ」あるいは、「それゆえ日本はすばらしい」とベクトルは逆でも、「このままじゃいかん。なんとかせねば。」が結論だったのに、「日本辺境論」は、これは善悪ではない。出発点である。もう仕方ないから、その事実を受け入れて、ここからはじめましょう。と呼びかけている。特に「マンガ」に可能性を見出している点は、同感できました。
途中、武道や禅の話でさらにケムリが増えるけど、それすら、「なにやらおもしろそう。わかるような、わからないような」の感覚こそ、大事なんだなあと、本文中にある「学びの本質」についての考察を実践しつつ読ませようという内田教授の意図かも?(それにしても「マヌーバー」とか「ベイシックエビデンス」とか横文字が多すぎ。これは、けしからん。)
「日本特殊論」こそ、怪しい言説だと10年ほど前にはやっていたカルチャルスタディズでは盛んに言われていましたが、十年一昔?やっぱり「特殊」と思いたい?それも「辺境人」ゆえ?ああ、モヤモヤしたままだ。(しかも、何を書いているんだか、自分でもモヤモヤなのは、この本という「中心」にひっぱられている「辺境人」だからです。ご、内田センセー流に煙幕をはっておこう。)
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夕ごはん
豚肉とピーマンの塩いため
トマトサラダ
蒸しブロッコリ
ひじきの煮物
ぬか味噌漬け
干し野菜のマリネ
納豆
じゃがいもとあげ、大根の葉っぱのみそしる
この本は未読ですが、
ReplyDelete>「なにやらおもしろそう。わかるような、わからないような」の感覚こそ、大事
というところには、共感します。
今週、伊坂幸太郎「SOSの猿」を読んだ後、有川浩「阪急電車」を読んだのよ。
「SOS・・・」の方は、構成からして非常に一筋縄では行かない「え、なにこれなにこれ、どうなってんの?」という本なのですが、「阪急・・・」は分かりやす過ぎるほど分かりやすい平明な読み物なのね。
前者を読んでる間中していた、ちくちくちくちく脳細胞を刺激される感じが、後者に移った途端、まっっっったくしなくなったの。
突然、自分の感覚が鈍くなったような感じ。
これは良し悪しではなく、好みですけれども、私はモヤモヤチクチクの方が好きなんだわー。
ちょっと話ズレましたすみません(^^;)
しのはら様 うんうん。わかりますー!私も「わかるような、わからないような、もやもや」が好きです♪これは、好みの問題ですよね。蛇足ですが、内田さんの本のあとがきに、橋本治さんへに謝辞があり、「ああ、このメンドクサイ感じは、橋本節と通じる!」と妙に納得しました。
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