2010-09-26

「プルーストとイカー読書は脳をどのように変えるのか?」

こどものころ、通っていた幼稚園の本棚にリチャードスカーリーの英語の本が置いてありました。もう日本語は読めると思っていたので、その本を読んで英語を読めるようになりたいと思ったのだけど、、、なぜか読めない。どうしてだろう?どうしてこの「英語(アルファベット)」が読めないんだろう?と、とっても不思議でした。かわいかったねえ。私も。

さて、ではどうやって人間は「字を読むことを学ぶのか?」「そして果たして読書の機能は?」がテーマの本を本日ご紹介。

プルーストとイカー読書は脳をどのように変えるのか?」(メアリアン・ウルフ著 インターシフト 2008)。

「字を読むという能力は、脳の遺伝子に先天的には、組み込まれていない。視覚とか図形認識のための脳の回路を援用しているにすぎず、生まれた赤ちゃんは、ひとりひとりが、読む回路の形成の仕方をはじめから学ばなければならない」なんて、今まで考えたこともなかったけど、言われてみたらそうかも?の「読むという能力」について、言語学、歴史学、脳科学の視点からきりこみ、さらには「ディスレクシア(難読症)」についての詳細な解説ありで、なんちゃって英語先生としては、読まずに死ねるか!の一冊でした。

シュメール文字から始まる文字の歴史も面白く読みましたが、ヒトがどのように「読み」を獲得するかのプロセス、さらにはディスクレシアについては、現場でこどもと接している上で参考にもなり、思い当たることもあり。BBカードや絵本の読み聞かせの有効性についての裏づけとしてもうなづきながら読みました。

脳は、読めば読むほど回路が増強され、それに伴い自動化速度があがると、内容に対して「解読」のレベルから「批判的読書」さらには「創造的読書」に発達するなんて、わくわくする内容。その一方で広がりつつあるネット社会での「情報獲得」は、読書によって培われるそういった能力を剥奪してしまうのでは?という著者の危惧もリアルです。

口承文化が主流の時代に広がりつつあった識字文化に対して、ソクラテスが猛反対したその理由は、気軽に検索かけて情報ゲットした気になってしまう自分たちにも警句としてきこえますね。

書かれた文章は、”あたかも知的であるように”見えるため、物事の真実により近いように思われるので、言葉が人々を欺いて、理解し始めた過ぎない物事を理解したかのごとき浅はかな錯覚に陥らせてしまうのではないかと、ソクラテスは恐れた。(p116)


図書館にリクエストをかけて道立図書館から取り寄せた一冊。もっと読めばまた違う内容を読み取れるはず。刺激的でした。読みに苦戦している小学生をあんまり追い込まないようにしよう!って改めて思いました。

プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?
プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?メアリアン・ウルフ 小松 淳子

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夕ごはん

マーボーなす
オイキムチ
干し野菜のマリネ
トマトと紫蘇のサラダ
ブロッコリ
納豆
じゃがいもとにらのみそしる

2 comments:

  1. 早速図書館で予約しました!読んだみます。"interesting"のクリックボックス100回くらいクリックしたかったです。感謝

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  2. ソクラテスの言葉、その通りと感じます。

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