2007-07-07
「国家の崩壊」
本日は七夕。七夕といえば「おりひめ(=ベガ)」。ベガは、全天体で5番目に明るい星だそうだ。(数週間前の「学校へ行こう」が教えてくれました。)この「5番目」というのが結構気に入っています。
本日は、何日か前に読み終えた本の話。
「国家の崩壊」(佐藤優、宮崎学著。 にんげん出版)
佐藤優は、「外務省のラスプーチン」として今やメディアで売れっ子。宮崎学は、「キツネ目の男」として一世を風靡。どちらも手強そうなおじさんたち。本書は、宮崎学が主宰する勉強会での佐藤優の講義録がもとになっているそうで、「どうしてソ連は崩壊したのか?」をテーマに、実際にゴルバチョフ、エリツインの時代の目撃者であった佐藤が自説を展開するという内容です。
佐藤優の本を初めて読んだのは、「獄中記」。自身が「ムネオ疑惑」で収監中に綴った日記録。一読して「あー、インテリってこういう人のことを指すのねー」と、感心したのです。本の読み方、物事の見方のエッセンスが凝縮されていてとても刺激的でした。それでいて、時に「浪花節」だったりして。今まで読んだことのないタイプの本でした。
さて、「国家の崩壊」ですが、ソ連の成り立ち、歴史、社会、経済、政治についてまさにてんこ盛りで、詰め込みすぎの感あり。前半部分は、「教科書」のようで事実関係が畳みこむように書かれているので、あんまり頭にはいっていきませんでした。唯一、印象に残ったのが次の一節。そしてこの一節が本書の性格をよく示しているように思った。
(ロシア人は)データというものは、嘘データを弾くことはできるけれども、。本物のデータは山ほどあるわけだから、そのうちのどこを摘むかという点で常に恣意が働くということも思い知った。それから、摘んだ本物のデータが同じでも。摘んだものの連関をつけて物語を作るのは、個々の作家の能力に依存するということもわかってきた。(pp148)
これはロシア人の歴史認識に関しての記述なのだけど、この考え方をそのまま本書にあてはめることもできるなあと思ったのです。
佐藤優が見聞きした膨大なデータを紹介しつつも、それの分析は、彼の恣意にまかされている。ゴルバチョフとエリツインの政治手法の違いなどを比較検討しながら、随所に「小泉政権」への批判が浮き上がってきている。「小泉のやり方を押し進めると『日本国家も崩壊』しちゃうかもしれない」という「物語」に導くのが本書の目的のように読めました。
で、どうして「ソ連が崩壊したか?」ですが、、、、読み方が悪いのか、「いろんな要素が絡まって崩壊した」ということしかわかりませんでした。結局歴史って、複合的ないろいろな出来事が積み重なって進んで行くものよね。
とはいえ、佐藤優が紡ぐ「ソ連崩壊の物語」は、ロシアマフィアは登場するは、複雑な民族抗争史がコンパクトに語られているは、で読み応え十分。ロシアのことや、政治に興味がある方は、是非ご一読を。
実は数週間前のgrowing reed のテーマが「ロシアは今、どうなっているんですか?」だったんだけど、イマヒトツの盛り上がりだった様子。佐藤さんをよべばよかったのに。
夕ご飯
ジンギスカン
糠漬け
「野菜がたくさんあるんだから、ジンギスカンにしよう」という夫のひと言で決定。出荷も始まったからね。
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