2007-08-26

「すべてのいのちが愛おしい」


小学3年生か、4年生の頃、近所の「九品仏(くほんぶつ)」というお寺の境内が遊び場だった。そのお寺の裏手に世田谷区の区民センターがあって、ミニ図書室が併設されていた。外遊びにあきると、そこにある本を眺めていた。その中に、「宇宙の成り立ち」について書いてある本があった。難しい記述もあって、よくわからなかった部分も多かったのだが、その本の最後の方に、「地球は、数十万年後に消滅する。」と述べてあった。それまでの私の世界が崩壊するような強烈なショックだった。人が死ぬとか、生まれるとかもどの程度までわかっていたか怪しいような子供だったのだけど、読みながら心臓がバクバクして、頭がクラクラした。今、自分がたっている地面がガラガラとなくなるような感覚だった。怖かった。「消滅ってどういうこと?」「消滅した後って、何があるの?」「あるものがなくなるってどうなるの?」というわけで、その晩、質問攻めにあった母は、かなり困ったことだろう。私は、あまりの怖さに、夜もよく眠れなかった。

「無」というものを意識した瞬間なのかもしれない。

そんなこども時代のある日を「すべてのいのちが愛おしい」を読んで思い出した。この本は、生命科学者であり、「生きて死ぬ智慧」など多数の著書を持つ柳澤桂子の作品。孫娘への書簡のかたちをとりながら、地球が生成された様子から、原始生物の誕生、宇宙の成り立ちDNA,
生きものの生死、海洋生物の生態まで、たくさんのSense of wonderが、平易でありながら、品のある文章で綴られている。

高校時代に「モル係数」でつまづいた私にも「驚嘆する感性」は、あったのね、と、ちょっとうれしくなれる。それほど、自然界は、驚きに満ちていることに改めて気づかされる。うちのハウスに、雨上がりの後、たくさんのミミズが干上がって転がっている理由もこの本を読んでわかりました。(^^)

ここに、私がこうしていることさえ、奇跡的なできごとなのです。あー。すごい。

挿画も文章の雰囲気と一体化している。随所に、室生犀星、長田弘、高村光太郎、小沢健二(!)の詩も挿入されていて、中学生時代に、この本を読んでいたら、「モル係数」も、もうちょっとがんばったかも、、、、、うーん、やっぱりそれは、ムリだったかな?

私の周囲にいる小学生が、中学生になったらプレゼントしたい本です。オトナの方も、勿論楽しめます。


「地球消滅」の記述にショックを受けた35年前の小学生は、その後も、世田谷区民センターのその本を手に取らずにはいられませんでした。怖い、怖い、みるのをやめよう、、、と思いつつ。何度ひらいても、記述は同じなのに。

夕ごはん

冷やし中華
ぬか漬け

夫が、昨日の宴会で調子が悪かったので軽め。

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