「グレートジャーニー」で世界5万3千キロを人力だけで走破した関野吉晴氏がその旅の途上で出会ったのがプージェー。出会った当時6歳の彼女は、馬を駆り、家畜を追っていた。その彼女にカメラを向ける関野氏に、プージェーは、「写真撮るなら、そこから動かないで!」と堂々と言い放つ。映画を見ている私にもわかるほど、関野氏の行動は、彼女の仕事の邪魔になっていたのだ。「へえ。かっこいい子だなあ」と、観客は彼女に惹き込まれる。モンゴルで経済自由化が断行されて10年後くらいの遊牧民の生活は、牧歌的ではなく、プージェーの父は出稼ぎで不在。祖父母と母が家畜の世話をしている。その母も、盗まれた30頭の馬を探して留守中だとか。「えっ?探すって。。。?」広がるのは草原のみ。
普通のドキュメンタリーのように遊牧民の生活を事細かに説明することは、ほとんどない。上映前に挨拶に現れたこの作品の監督が、「できるだけ加工しなかった。」と言っていたのはそういうことかも。
だから、見ている方は、なんとなく落ち着かなくもあるが、それが逆にリアルであったりする。関野氏は、その後3回プージェーのもとを訪れる。その間に、2000年にモンゴルを襲った大雪害の様子や、食べ物がなくなり飢え死にする家畜の姿も、そのまま描かれている。
そして、映画の最後は、「えっ?」と思うほど、あっけなく、哀しい。
見終わったあと、物語を読んだような充足感や、カタルシスのようなものは感じない。いろいろなものが、整理されずにいびつなまま提示されていたからだと思う。だけど、なんともいえないざらざらとした気分は残る。それは、この映画が「現実」を伝えていたからではないかなあというのが今の感想。
配られたチラシには、各界の著名人の推薦文が掲載されていた。(椎名誠、渡辺一枝、龍村仁など)その中で、私の感想と一番近かったのが、春風亭昇太氏の言葉。
厳しい自然の中で人は『生き物』にすぎない。しかし、その生き物の面構えは、崇高で美しい。「一期一会」の言葉の重さも、この映画で知った。」
もし,興味がある方は、。http://puujee.infoを参照してください。以前に紹介した「世界屠畜紀行」にも引用されている映画です。
夕ごはん
すきやき
農作業も一段落したので。
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